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バルサ監督シャビが9年前に語っていた“選手の素質”「『そのサイズで中盤は無理だ』って。だけどみんな僕を手本にしている」
posted2021/12/08 17:01
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Takuya Sugiyama
〈初出:2012年2月9日発売号「シャビ・エルナンデス『相手を絶望させるサッカーを』」/肩書などはすべて当時〉
指揮官グアルディオラの意図を誰よりも理解し、ピッチ上で具現化するチームリーダーが、バルサの目指すサッカーについて語り尽くした。明らかになったのは、対戦相手を完膚なきまでに圧倒しようとする無慈悲なまでの“理想”だった。
◆◆◆
昨シーズンの半ば頃だったろうか、「バルセロナの試合は退屈だ」という声が聞こえ始めた。どこが相手であっても同じ展開になるからだ。
キックオフ後まもなくバルサがボールを持ち、パスを繋ぐ。
相手のディフェンス網に穴が開いたところでゴールを決める。
そして再びパスを廻し、タイミングを見計らって2点目、3点目……。
このまま90分が終ってしまうため、ハラハラドキドキのダイナミックな試合が好きな人は落胆してしまう。
しかし、よくよく考えてみると、今もこれだけ強いというのは大変なことである。
ジョゼップ・グアルディオラが監督に就いた'08-'09シーズンに三冠王者となって以来、バルサはスペイン国内でもヨーロッパでも「倒すべき相手」として分析されてきた。
それなのに完璧に止められたことは未だ一度もないのだ。
グアルディオラは毎年フォーメーションを変えてきた
この3年半、全公式戦の85%に出場してきたシャビ・エルナンデスは、その理由を「僕らのサッカーも絶えず進化しているからだ」と語る。
「今シーズンの変化は、話題になっているスリーバックだろうね。実のところ、以前からチームがボールを持つと、自動的に右サイドバックが上がっていたから、目新しいことじゃないんだけどね。ならば今季はどこが違うのかというと、その右サイドバックのダニ・アウベスがより中盤のプレイに関わるようになったことかな。対戦相手の9割はワントップでくるってことがわかっているから、マークに不都合が生じることはないんだ」
振り返ると、グアルディオラは毎年フォーメーションに手を加えることで基礎戦術を変えてきた。