熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「トルシエ、ジーコはほぼ同様。でもオシムは…」三都主アレサンドロが語る《あの頃と今の日本代表/サイドバック論》
posted2021/11/24 17:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Hiroaki Sawada/Koji Asakura
「日本代表が来年のワールドカップ(W杯)に出場できると思うかって? もちろんだよ。それだけの実力、底力がある。第一、出場してもらわないと僕たちも困る(笑)」
日本代表が敵地でオマーン代表を下し、アジア最終予選でグループ2位に浮上した今月16日、現役時代と全く変わらぬスリムで筋肉質の44歳は、柔らかい笑みを浮かべながらも強い口調で言い切った。
現在は、生まれ故郷であるブラジル南部の中都市マリンガで、自らが立ち上げた選手育成アカデミーを運営する一方、日本の会社が出資したプロチームのCEOを務める。現役を引退してからもエネルギッシュに活動する三都主アレサンドロに、日本のフットボールへの提言と自身が取り組む選手育成などについてじっくり聞いた。
日本に限らず世界でも名SBが少なくなった
――W杯アジア最終予選の試合は、見ていますか?
「ダイジェストでは見ている。僕も経験したが、アジアでの戦いも容易ではない。でも、最初は少し躓いたけれど、次第に歯車が噛み合ってきている。自信を持ってプレーすれば、大丈夫だよ」
――森保監督とは、面識がありますか?
「選手時代、Jリーグの試合で何度か対戦した。そして、2019年にブラジルでコパ・アメリカ(南米選手権)が開催され、日本代表が招待されて出場したときに、会って話をした。非常に誠実な人で、優秀な監督だと思う」
――日本代表のSBは、かつては内田篤人、長友佑都、酒井宏樹、酒井高徳ら欧州クラブで活躍する人材がいた。しかし、内田が引退し、他の3人も30代となり、若手の台頭が待たれています。
「日本に限らず、世界でも優れたSBが少なくなっている。僕は、レオナルド、ブランコ(いずれもブラジル代表で活躍した左SB)らに憧れて練習を積んだ。目標になる存在がいれば、彼らを目指して後に続く選手が出てくるものだ」
三都主が考える「日本代表に求められるSB像とは」
――以前と現在では、SBの概念、SBに求められるプレーが大きく異なります。
「そうだね。かつては守備に専念するSBもいたけれど、今は守備はもちろんのこと、攻撃を組み立て、最終局面にからみ、さらには点を取ることまで期待される。だからこそやりがいがあるとも思うんだけど、非常に高いレベルのスピード、スタミナ、スキル、戦術理解能力が必要なので、若い選手にとっては『しんどいポジション』というイメージがあるのかな?(笑)」
――日本代表のSBに求められる要素について、どう考えますか?