Jをめぐる冒険BACK NUMBER
三笘薫・中山雄太の活躍が“森保ジャパン新形態”を生む? 「W杯を見据えた戦いはできているか」の問いに吉田麻也は…《現地取材》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJFA/AFLO
posted2021/11/17 18:00
オマーン戦勝利後、円陣を組んだ森保ジャパン。選手も課題を自覚している一方で、W杯ストレートインのグループ2位にまで持ち直したのも事実だ
81分の先制点も中山から。「できるだけ近くで(三笘を)サポートすることで、仮にボールを失っても攻撃に繋げられるポジションを取っておこうと意識していた」という狙いどおり、相手からボールを奪い返すと三笘に預け、伊東純也のゴールの起点となったのだ。
その中山が試合後、「まだまだ(今の自分は)僕の理想のサイドバックではない」と語ったものから、「それなら、どのような理想像を描いているのか」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「今まで日本にいなかったようなタイプの選手になれると自分では思っていて。守れて、ゲームが作れて、なおかつ上下動もできるのが僕の中での理想。そういうサイドバックは世界でも希少だと思うし、それができたら、誰と組んでもバリエーションが出せると思う。そこが僕の中の理想のサイドバックですね」
理想像は常に更新されていくものだから、中山がこの先、自身のプレーに100%納得することはないと思うが、東京五輪の頃には手探り状態だったサイドバックでのプレーに安定感が生まれているのは間違いない。
世代交代の加速ときっかけとなり得るゲーム
森保監督も「スタートから出てもおかしくないパフォーマンスをしてくれている」と認めているため、次戦はいよいよスタメンだろうか。
田中、中山、三笘といった東京五輪組の活躍もあり、森保監督も「ポジション争いの部分は今後ニュートラルに見て、決めていきたい」ときっぱり言った。
世代交代が加速するきっかけとなるゲーム――。のちに振り返ったとき、このオマーン戦はそうした意味合いを持つことになるかもしれない。
興味深かったのは古橋1トップ、大迫トップ下
オプションという点では、62分に南野に代わって登場した古橋亨梧が1トップに、大迫勇也がトップ下に入る新シフトも興味深かった。
攻撃の基準点を作る大迫のポストプレーは、代表チームにとって欠かせない。しかしながら現状は、1トップの大迫が相手センターバックふたりからの集中砲火を浴び続け、潰される機会が少なくない。
そこで前線に入った古橋が裏を狙うことで相手のディフェンスラインを押し下げ、バイタルエリアでプレーする大迫の周りにスペースを作り出したのだ。
確かに大迫はこのところゴールから遠ざかっているが、セットプレーの攻撃のみならず、セットプレーの守備においても簡単には外せない存在でもある。それなら、大迫がポストワークをしやすい環境を整備するのも大事な視点と言えるだろう。