プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“負けるべくして負けた”巨人軍…山口寿一オーナーも嘆いた、原辰徳監督がクリアすべき《大きすぎる課題》とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/11/13 17:03
CSファイナルステージでヤクルトに敗れ、3年連続日本シリーズ進出はならなかった巨人・原監督
巨人・山口オーナー「戦力の上積みがまったくできなかった」
しかしそれが一向に解消されず、今年もまたポストシーズンでその問題を突きつけられたということなのである。
もちろん強い真っ直ぐに力負けしないでバットを振れる打者を育てるのが、まずやらねばならない課題であることは分かっている。ただ、それはスカウティングから育成まで、大きな枠組みで取り組まなければならない課題で時間もかかる。
そこで毎年、補強を行うのだが、そこがうまくいっていないということなのである。
「今年に関しては去年から戦力の上積みがまったくできなかった」
レギュラーシーズンを総括した山口寿一オーナーの言葉だった。
実際問題として昨オフには真っ直ぐに強い梶谷隆幸外野手がフリーエージェントで加入。新外国人選手もエリック・テームズ外野手とジャスティン・スモーク内野手を獲得してはいた。
特に問題は外国人選手の補強
しかし、テームズは合流直後にケガで戦線離脱したまま退団し、スモークもコロナ禍で家族が来日できないことからシーズン途中で帰国してしまった。そして梶谷もケガで戦線離脱を繰り返し、補強した選手がほとんど機能していなかった。
特に問題は外国人選手の補強だろう。
クライマックスシリーズでもファーストステージではチャンスで阪神のジェフリー・マルテ内野手とメル・ロハス・ジュニア外野手が打てなかった阪神が敗れ、そこでウィーラーが活躍した巨人が勝ち抜けた。そしてファイナルステージではウィーラーが封じ込まれて、逆に初戦でヤクルトのサンタナが放った2ランが勝負を決めている。
ポストシーズンに限らず、外国人選手の活躍次第がチーム成績に及ぼす影響が大きいのは、どのチームも同じなのだ。そういう意味では巨人の補強の最大の課題は外国人選手、特に中軸を支え長打力のある外国人打者の補強で、3連覇のならなかったレギュラーシーズンの結果とCSの結果が、その課題を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。
来季に向けて巨人ではルビー・デラロサ投手、チアゴ・ビエイラ投手、C.C.メルセデス投手とウィーラーとの再契約は濃厚になっている。ウィーラーはチームに溶け込み、ムードメーカーの存在感もある選手だが、奥川や高橋の強い真っ直ぐに負けずに打ち返せる本当の意味でのパワーヒッターではなく、ホームランバッターでもない。
とりあえずはそういう外国人打者を補強し、その間に自前の若手選手を育成する。そこからしかチーム再建は始まらない。続投が決まっている原監督の残り任期の、それが大きな課題となるはずである。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。