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「そりゃあないぜタツノリ…」“球団史上最も勝った監督”原辰徳に巨人ファンの冷めた空気…なぜズレが生まれた? 問題は原巨人の“負け方”

posted2021/11/04 17:05

 
「そりゃあないぜタツノリ…」“球団史上最も勝った監督”原辰徳に巨人ファンの冷めた空気…なぜズレが生まれた? 問題は原巨人の“負け方”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

63歳の原監督は通算1152勝。球団史上最も勝った監督になった

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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Nanae Suzuki

「原監督 私の用兵ミス」「原巨人V3消滅」「原政権ワーストタイ10連敗」

 9月から10月にかけて、スポーツ報知には連日そんな見出しが並んだ。8月29日、巨人が今季99試合目で4月1日以来の首位に立ち、チーム全員で神輿を担ぐ“わっしょいベースボール”でリーグV3へのラストスパートをかけるはずだった勝負の9月。4日の阪神戦(甲子園)にサヨナラ負けで首位陥落すると、5日の同カードでは6回の守備からキャプテン坂本勇人を下げて、6点リードを追いつかれ、まさかのドローに終わる。24日の阪神戦(東京ドーム)でも、最終回に同点に持ち込まれ痛恨の引き分け。さらに26日の敗戦で自力V消滅……。

 そして、10月5日からの1位ヤクルトとの三連戦にトドメの3タテを食らい、首位とのゲーム差は今季最大の8.5に広がった。事実上の終戦を迎えると、もはや神輿を担ぐ気力もなく、そこからチームは泥沼の10連敗と一時はBクラス転落も危ぶまれるほど急失速してしまう。

 8月終了時51勝37敗12分だったのが、9月を6勝14敗5分、10月は4勝11敗3分と正念場の2カ月を10勝25敗8分と大きく負け越し、最終成績は143試合61勝62敗20分の3位。通算15シーズン目の原政権において、勝率5割を下回ったのは4位に沈んだ06年以来2度目である。

 9度のリーグ優勝、3度の日本一と堂々たる実績を残してきた指揮官タツノリの憂鬱。確かに長い原体制(02~03年、06年~15年、19年~)でも、ここまで想定外のアクシデントに見舞われたペナントレースはこれまでになかった。開幕直後の4月上旬には主力選手4人の新型コロナ感染が判明。15日には抑えのデラロサが米国の市民権手続きのためチームを離れた。24日にはローテ投手のサンチェスが右肩の違和感で抹消。補強の目玉、新助っ人スラッガーコンビがようやく一軍合流したと思った矢先、テームズはデビュー戦の神宮球場で外野守備中に右アキレス腱断裂の大ケガで即戦線離脱してしまう。5月に入っても負の連鎖は止まらず、8日にエース菅野智之が右肘の違和感で二軍へ。9日のヤクルト戦では坂本勇人が右手親指骨折、25日には梶谷隆幸が左太もも裏の違和感で抹消。それぞれ1カ月以上の長期離脱を強いられた。

令和の“消えた巨人軍現象”

 思い返せば、春の沖縄キャンプで原監督が獅子舞にかまれるマスコミ用撮影が毎年恒例となっていたが、21年は「今年からバトンタッチだ!」と岡本和真に大役を譲っていた(その岡本は「4番・三塁」でフル出場して本塁打と打点の二冠に輝いている)。

 当時、まさかのタツノリ獅子舞顔芸パフォーマンス引退かと一部で報じられたが、あのとき疫病退治で獅子舞に噛まれていたら……なんて後悔先に立たず。

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