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シード圏外からの大逆転 箱根駅伝王者・駒澤大が「ベストメンバーではない&3位以内狙い」なのに優勝できた理由
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/11/08 17:04
一時はシード圏外にも落ちた駒大だったが、エース田澤の快走など後半に怒涛の追い上げを見せて全日本大学駅伝2連覇を達成した
出雲駅伝は夏合宿の疲労があって調子が上がらず、当日変更で補欠に回り、出走はできなかった。その後、調子を上げて、鈴木芽吹や唐澤が外れたことでチャンスが来た。大八木監督には、「4区は34分40秒でいけ」と言われた。それよりも22秒も早く、区間4位、チームを11位から9位に上げて、襷を東山静也(3年)に渡した。
バスに乗り込み、大八木監督に電話をかけるとこう言われた。
「合格だ!」
その一声で箱根駅伝の手形も見えてきたが、その箱根では7区を目指す。今年、卒業した小林歩(NTT西日本)に憧れており、同選手が3年時に走ったのが7区だったので、同じ道を歩みたいという。
6区安原)駒大の“外さない選手”「出雲では失敗しました」
6区の安原太陽は、出雲駅伝につづいて、素晴らしい走りを見せた。
9位でスタートしたが、7キロ付近で中央大や早稲田大などを追い抜き、一気に4位まで順位を上げた。やや突っ込んで入ったように見えたが、自身は「前半突っ込み過ぎず、後半しっかりとペースを上げていく」というプランを考え、その通りに走った。
「出雲の時は短い距離ならいけるだろとオーバーペースで入って失敗し、悔しい思いをしましたし、田澤さんにもだいぶ負担をかけてしまいました。今回は、目標の3位以内を狙っていける位置で田沢さんに襷を渡そうと走りました」
冷静に自分で決めたタイム(1キロ2分50秒~55秒)で刻み、早稲田大から東京国際大に入れ替わったトップとの差は1分36秒の4位で、エース田澤に襷を渡した。
出雲では2区3位、今回は6区2位と駅伝を外さない安原は、指揮官にとっては安心して起用できる選手。爆走する選手も大事だが、コンスタントに高いレベルで結果を出す選手は駅伝に欠かせない重要な戦力だ。
「駅伝を外さないのは、高校時代からです。レースに向けての調整力、集中力は自信がありますし、外さない自信があります」
堅実な安原の走りがその後の田澤のエースの走りに繋がっていった。田澤は「安原ら後輩たちが頑張っている姿を見たら自分がチームの中で一番いい走りをしないといけないと思った」と語ったが、田澤に戦闘モードのスイッチを入れたのは、安原ら「期待に応えた選手」の走りだったのである。
7区田澤)「青学が近くにいたことはなんとも思わなかった」
7区の田澤の走りは、さすがという他ない。