- #1
- #2
酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
和田毅引退で「松坂世代」が完結…投手成績を見直すと面白い「じつは松坂大輔より和田と杉内俊哉の方が」「メジャー挑戦は藤川球児ら4人」
posted2024/11/17 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
和田の引退で「松坂世代」の成績が完結した
ソフトバンクの和田毅が引退した。万全の体調であれば、劣勢になった日本シリーズで登板して、ベテランならではの持ち味を発揮して、潮目を変えるかもしれなかっただけに残念だ。近年のプロ野球で「遅い速球」が武器になった点では、上原浩治と双璧だっただろう。
そんな和田毅の引退は「松坂世代=1980年4月2日~1981年4月1日に生を受けたプロ野球選手たち」の時代が完結したことを意味する。実は久保康友(80年8月6日生)がドイツの野球ブンデスリーガのハンブルグ・スティーラーズで投げてはいるのだが、NPBに限れば「終焉」ということになる。
ちなみにNPBでは松坂世代より1学年上のヤクルト石川雅規(80年1月22日生)が現役続行を表明している。今季のMLBでは松坂世代より1学年上(アメリカでは言わないが)の左腕投手リッチ・ヒル(80年3月11日生)が、8、9月にレッドソックスで投げている。
「松坂世代」には、本当に楽しませてもらったという思いが強い。
筆者が取材したある少年野球チームの指導者は、多摩川の河川敷の球場で中学時代の松坂大輔と試合をしたことを語ってくれた。江戸川南リトルシニアに所属していた松坂の球は、強烈にホップして「バットに当てるどころではなかった」とのことだ。松坂大輔は少年時代から、多くの同世代に強烈な印象を与えていたのだ。
松坂世代のプロ野球選手について、記録で振り返ろう。まずは投手編。カッコ内は生年月日。勝利数20傑で並べている。MLBの成績は含まない。まずはトップ10から。
和田毅(81年2月21日)浜田高ー早稲田大/ダイエー・ソフトバンク
334試160勝89敗0S3H 2099.2回 率3.18
杉内俊哉(80年10月30日)鹿児島実業高-三菱重工長崎/ダイエー・ソフトバンク、巨人
316試142勝77敗0S0H 2091.1回 率2.95
松坂大輔(80年9月13日)横浜高/西武、ソフトバンク、中日、西武
219試114勝65敗1S0H 1464.1回 率3.04
久保康友(80年8月6日)関大一高-松下電器/ロッテ、阪神、DeNA
304試97勝86敗6S20H 1540.1回 率3.7
館山昌平(81年3月17日)日大藤沢高ー日本大/ヤクルト
279試85勝68敗10S24H 1392回 率3.32
新垣渚(80年5月9日)沖縄水産高ー九州共立大/ダイエー・ソフトバンク、ヤクルト
172試64勝64敗0S0H 1077.1回 率3.99
木佐貫洋(80年5月17日)川内高ー亜細亜大/巨人、オリックス、日本ハム
215試62勝72敗10S0H 1135回 率3.76
藤川球児(80年7月21日)高知商業高/阪神
782試60勝38敗243S163H 935.1回 率2.08
久保裕也(80年5月23日)沖学園高ー東海大/巨人、DeNA、楽天
506試54勝37敗37S113H 767回 率3.45
久保田智之(81年1月30日)滑川高ー常磐大/阪神
444試41勝34敗47S117H 612回 率3.16
日本球界に限れば勝利数は松坂より和田、杉内
日本球界に限れば、世代のフラッグシップを担った松坂よりも、ソフトバンク・ダイエーの投手陣を担った2人の左腕の方がNPBでの通算勝利数は上になった。