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全日本“区間12位”でも箱根連覇に欠かせない? 駒澤大“唯一の4年生”、下級生活躍の裏での葛藤と献身「口惜しくなかった4年生はいない」
posted2021/11/09 11:03
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
AFLO
「自分のところであと20秒、30秒粘ることができれば、後ろの選手はもっと良い位置で走れていたはず。不甲斐ない走りをしてしまいました」
レース直後、佃康平はそう言って唇を噛んだ。
史上最少の、2位青学大との8秒差の激戦を制し、全日本大学駅伝2連覇を飾った駒澤大において、4年生として唯一の出場を果たしたのが佃である。
主力に故障者が相次ぐ中、前半のエース区間である3区に起用されたが、区間12位と満足のいく走りはできなかった。
だが、見方を変えれば、こう評価できるのではないか。東京国際大のヴィンセント(3年)や早稲田大の中谷雄飛(4年)ら他校の名だたるエースたちを相手に奮戦し、日本人最速をマークした青学大の岸本大紀(3年)との差をよく1分以内の47秒差に留めた、と。
大八木弘明監督も「5区までの選手が、6区の安原(太陽)、7区の田澤(廉)までに少しでも差を詰めて渡そうと気持ちの入った走りをしてくれた。それが今回の勝因じゃないかなと思いますね」と述べたように、精一杯の粘りを見せたのは間違いないだろう。
「下級生任せにしてしまったのが本当に口惜しかった」
佃の原動力は口惜しさにある。
全日本に先立って開催された出雲駅伝では、4年生ながら出場メンバー入りを果たせなかった。前回の箱根で8区を走り、区間4位と結果を残してきただけに、自身への不甲斐なさが募ったという。
「4年生なのに駅伝初戦の出雲にかかわることもできなくて、下級生任せにしてしまったのが本当に口惜しかったです。そこからは気持ちを切り替えて、自分もチームを引っ張っていくんだという思いで練習をやってきました」