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「延長線上に日本代表がある」中村憲剛が語るフロンターレの“強烈なモチベーション”とは 田中碧と三笘薫が抜けても《J1連覇》
posted2021/11/04 17:02
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
けた外れの強さを見せつけて、川崎フロンターレがJ1を制した。
優勝を決めた34節までの成績は26勝7分1敗で、勝ち点はJ1史上最多となる「85」。クラブのシンボルだった中村憲剛氏が昨シーズン限りで引退し、オフに守田英正がポルトガルのクラブへ移籍した。夏には三笘薫と田中碧もヨーロッパへ旅立った。それでも、シーズン開幕から白星を積み重ねていった。
他の追随を許さなかったフロンターレの21年シーズンを、中村憲剛氏に振り返ってもらう。フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザーの立場でクラブに関わっているが、「日常的にチーム内にいるわけでなく、皆さんと似たような位置から見ているので、ホントに凄いと思います」と、後輩たちの戦いぶりを讃える。
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フロンターレ優勝の要因として、まずあげたいのは「自信」です。昨シーズンから4-3-3にシステムを変えて、ぶっちぎりで優勝した「自信」と「経験値」が、チームの支えになっていると感じました。
サッカーを見ていくと、ダイナミックな攻めと遅攻をうまく織り交ぜています。選択肢が豊富なうえに経験値が高いので、「どの武器を、いつ出すのか」の判断がより適切になっていったのでしょう。対戦相手が対策を講じてきて、「ちょっとうまくいかないな」となっても、「じゃあ、こうしよう」という感じで、攻め筋を自在に変えることができていました。
「負けないチーム」になったフロンターレ
角度を変えてみると、「フロンターレはどこかで必ず手を打ってくる」という心理的プレッシャーをかけることができている、と思います。それによって、相手はパススピードが弱くなったり、ボールを受ける選手が減ったりする。
そうなったらもう、主導権を掌握するのは難しくありません。相手のスキを見逃さない「眼」は、過去数年のタイトル獲得でかなり研ぎ澄まされてきた。自分たちはスキを見せず、相手のスキを突いて勝機を見出すことが、いまのフロンターレにはできているのです。