JリーグPRESSBACK NUMBER
「フロンターレは死んでいない」「ポンポン選手を連れてきても…」 小林悠や強化部が語った《1敗だけでJ1連覇》の真相と転機
posted2021/11/04 17:01
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE
「シャーレを渡す瞬間というのは、村井チェアマンにとってどんな気持ちになるものなのでしょうか?」
川崎フロンターレが等々力陸上競技場でシャーレを掲げる3日前、そんな質問をする機会があった。
10月31日、川崎の映画館ではドキュメンタリー映画「ONE FOUR KENGO THE MOVIE ~憲剛とフロンターレ 偶然を必然に変えた、18年の物語~」の特別先行公開と、中村憲剛さんによる舞台挨拶が行われていた。
その特別ゲストとして登壇したのが、村井満チェアマンだったのである。
壇上では、川崎が劇的な初優勝を果たした2017年の最終節に触れて、「私はヤマハスタジアムにシャーレを持ってスタンバイしていたんですよ。うわー、フロンターレか!! ヘリコプターを調達して等々力に行こうかと思いました」と明かして会場を沸かす一幕もあった。
奇しくも、川崎のリーグ連覇が決まる可能性の試合を間近に控えたタイミングだった。
シャーレを渡す側も「鳥肌が立つような感じ」
年間優勝の証を渡すのは、チェアマンの仕事の中でも特別な瞬間なのだろう。ならば、そこにどんな思いがあるのか。それを聞いてみたくなったのだ。
その後、記者による囲み取材が行われたので、その場で尋ねてみた。
こちらの質問に村井チェアマンは「なんて言うんでしょうね……」と少し頬を緩ませながらも、過去の記憶を反芻しながら、楽しそうに話し始めてくれた。
「選手たちが子供のようですよね、はしゃいでしまって。1年間全ての結晶がそこに存在するわけで。『盛り上げるぞ!』とか『行くぞー!』とか我々の演出などの技術的な話は不要ですよ。選手たちの1年の全ての感情が爆発する瞬間は、もう言葉で表現することが難しいほどで、鳥肌が立つような感じですね」
「優勝が決まったら喜ぼうと」
この言葉の3日後。
川崎の本拠地では、優勝が決まって子供のようにはしゃぐ選手たちの光景が広がっていた。試合終了から幾ばくかの時間を要したものの、同じ神奈川県の横浜方面から届いた吉報に、全員で抱き合いながら輪になって喜んだ。タイムアップから連覇が決まるまでにピッチでやり過ごしたあの時間について、鬼木達監督はこう振り返る。