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<ヤクルト&オリックス> キーワードは「ホークアイ」と「風呂場」!? 史上初、セ・パともに前年最下位から優勝の秘訣って?
text by
プチ鹿島Petit Kashima
posted2021/10/31 06:00
昨季最下位から一転、ヤクルトは6年ぶり、オリックスは25年ぶりの頂点。高津監督は5度、中嶋監督は3度宙に舞った
『高津ヤクルト優勝 「捲土重来」2年連続最下位から』(10月27日)
注目は高津監督の胴上げ写真の左上にあった。『ノムさん 捲土重来』(97年9月29日)という、97年ヤクルト優勝時の一面も掲載していたのだ。
「捲土重来」は97年に野村スワローズが優勝した際のスローガン。「一度敗れた者が、再び勢いを盛り返し巻き返すこと」を意味する。高津監督は98年にノムさんが退団する際に「捲土重来」と書かれた色紙をもらい、苦しい時の支えにしたという。ザ・王道の一面であった。
開幕前は投手陣が不安視されたが、最下位から巻き返しのヤクルトに何が起こったのか?具体的な「技術」に注目したのが「日刊スポーツ」の『ハイテク再生工場「鷹の目」』(10月27日)。
メジャーでは全球団が取り入れる最先端の映像分析システム「ホークアイ」をヤクルトは取り入れた。
《画像による解析を行うため、ボールの軌道や回転数などに加え、投手のリリースポイントや、リリース時の角度、投球時の手首や肩の位置までもが分かる。》
高津再生工場の秘密も、そこにあった。
《今野、近藤、原、大下、田口ら…。戦力外通告からの復活や、好成績を残した投手が目立った。今季、NPBではヤクルトだけが使った高度な分析は今後の日本野球のトレンドになるかもしれない。》
こういうデータをどう活かすかも「マネジメント力」ですよね。
酸いも甘いも知る男の革命
ではパ・リーグのオリックス優勝翌日の紙面にいこう。
『オリ流 革命V』(日刊スポーツ10月28日)
中嶋聡監督の革命とは何か。
・「勝利への執念」を注入し、97年からV逸が続くチームの負け犬根性一掃に全力を注いだ。
・二軍監督時代に素質を見抜いた“中嶋チルドレン”の活躍。
・「3連投厳禁指令」。救援陣の負担を減らすため12球団で唯一、3連投がなかった。
・選手へのマイナス発言は一切なし。
・裏方にも気を配った。
こうしてみると「NPB最長の実働29年」という酸いも甘いも知る中嶋監督らしさがすべてに出ている。