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《五輪兼任とA代表専任監督どっちが最善か》問題…森保ジャパンと韓国代表の東京五輪→10月シリーズまでを比較してみた
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2021/10/31 11:00
10月シリーズを1勝1敗でW杯ストレートインに望みをつないだ状況の森保ジャパン。韓国代表はどうなっている?
9月のW杯最終予選2戦目のレバノン戦では再びソン・フンミンが負傷のため欠場。初戦でイラク相手にホームでスコアレスドローに終わる取りこぼしがあった。しかし10月に復帰すると、ホームのシリア戦(7日)で決勝ゴール、アウェーの難敵イラン戦(12日)では先制ゴール。大一番でのドローに貢献した。
もはや五輪での不振などさっぱり忘れられている。
何より、五輪代表は3年後のパリ大会に向け、さっさと次の体制づくりに動いているからだ。
9月15日にファン・ソンホン監督が五輪代表監督に就任。同月27日から国内合宿を行い、直近にあるU-23アジアカップ予選(10月23日開幕)への準備を始めた。
日本もまた、10月4日の合宿からパリ五輪世代の活動が始動している。ただし冨樫剛一監督は本来U-18代表の監督であり、暫定で指揮を執る。正式監督の就任について、日本サッカー協会の反町康治技術委員長は「年内に決める」「フル代表との兼任はなし」と明言している。後者は当然だろう。兼任なら、森保一監督ということになる。
日本側の兼任監督体制ゆえの硬直性が出ている話でもある。
兼任体制とは何だったのか
結局、兼任体制(ラージグループからの選手選抜)とは何だったのか。これまでの評価だと、こういうことになる。
「非常事態(新型コロナ)のセーフティーネットとしては有用だったが、勝負どころではあまり力を発揮していない」
東京五輪でメダルを逃した点はこの先の森保体制でも大きな傷口となりかねない。結果を残していれば評価も雰囲気も違ったのではないか。改めて認識しなくてはならない。兼任体制とは、五輪での悪影響がA代表に及ぶリスクがあることを。
韓国では2000年シドニー五輪前後でホ・ジョンムが兼任監督を務めたが、同様の事態に陥ったこともありそれ以降兼任は採用されていない。
いっぽう「兼任体制」のW杯最終予選での数少ない成果は、先日のオーストラリア戦で先制ゴールを決めた田中碧の存在か。東京五輪世代からの昇格組だ。
「兼任」か、「分業」か。それを任せた判断が正しかったのか。
11月もまた、1試合ごとに長いスパンの取り組みが問われる時間となる。