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《五輪兼任とA代表専任監督どっちが最善か》問題…森保ジャパンと韓国代表の東京五輪→10月シリーズまでを比較してみた
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2021/10/31 11:00
10月シリーズを1勝1敗でW杯ストレートインに望みをつないだ状況の森保ジャパン。韓国代表はどうなっている?
分業体制の弊害「ベントはもうクビだ」
そうやってロシアW杯後(2018年下半期以降)の日韓両国を比較する中で、「監督体制」では韓国の「分業」のほうが元々優位にあった。2019年上半期こそ日本がアジアカップで上の成績(準優勝)を残したが、この時は五輪との関わりがなかった。
その後、韓国が2019年12月のフル代表のE-1選手権と2020年1月のU-23アジア選手権(東京五輪予選を兼ねた)でいずれも優勝した。背景にはその年の11月下旬から分業体制の2人の監督が話し合い、「12月と1月は五輪代表選手をA代表に呼ばない」という約束があった。それまでは「A代表優先」のルールもあったのだ。いっぽう日本の森保監督はその時期、会見でたびたび「ラージグループ(からの選手選抜)」という言葉を用いていた。韓国とは対照的な体制だった。
しかし、2021年に入って一気に日本が優勢に立つ。
3月25日、日本はホームに韓国を迎えた。コロナ禍でAマッチデーの対戦相手を探すのに苦慮するなか、韓国が日本側の申し出に応じたのだった。パウロ・ベント監督が試合に飢えていたという事情もあった。
結果は3-0で日本の大勝。
韓国側ではこれが徹底的に叩かれた。
「ただ日本だけのために行われた試合」
「ベントはもうクビだ」
この試合での韓国の不調の大きな理由のひとつは「東京五輪世代がチームにフィットせず」という点にあった。直近のプレミアリーグでソン・フンミンが負傷。招集回避となった。代役としてA代表6キャップ目の東京五輪世代、イ・ガンイン(現マジョルカ/スペイン)をゼロトップ起用するなどしたが、全く存在を示せず前半で交代。分業体制の弊害が出たとも言える。新しく加えた若手選手がフィットしなかったのだから。
五輪もまさかの大エース欠場
そこから、一気に日本の「兼任体制」のほうが優勢に傾いた。
7月まで戦ったW杯2次予選は両国ともに「無風」で通過したものの、東京五輪で決定的な差がついたのだ。
日本4位、韓国ベスト8敗退。
ここで韓国側にとってじつに痛手だったのが、またしてもソン・フンミンの欠場だった。
本人が辞退を申し出たのではない。自ら交渉に臨んだ当時のキム・ハクボム監督は所属のトッテナム(イングランド)側からもOKを取っていた。
しかし監督自ら、“大エース”を削ることになった。理由はこうだった。