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冨安健洋「夢はプレミア、CL優勝」 観戦プログラムで9P大特集→宿敵とソン・フンミン封殺にアーセナルサポが大絶賛
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byClive Rose/Getty Images
posted2021/09/28 17:06
加入後3連勝に加えて、宿敵トッテナムと韓国代表エースのソン・フンミンをストップ。冨安健洋の評価が上がらないはずはない
今季、冨安は誰にもドリブル突破を許していない
冨安は安定感抜群の守備で最終ラインを支えた。マッチアップした韓国代表FWソン・フンミンをほぼ完璧に抑え、回数こそあまり多くなかったが、攻撃参加でも存在感を示した。3-1の快勝に大きく貢献したのは、「チーム最多のボールタッチ数(67回)とボールリカバリー数(8回)を記録。しかも今シーズン、冨安は誰にもドリブル突破を許していない」(英サッカーサイトSquawka)とのスタッツでも明らかだ。
筆者が注目したのは、冨安の状況判断力だった。
アーセナルは、陣形が左右非対称の複雑なシステムを採用している。基本システムは、4バックの4-2-3-1。攻撃時に左サイドバックのキーラン・ティアニーが前線の高い位置までせり出すと、そのスペースを埋めるために、「右サイドバックの冨安」と「2人のCB」がそれぞれ横方向にスライドして3バックに変形する。
しかし守備時になると、ティアニーが最終ラインに戻り、ふたたび4バックに形を変える。アーセナルの最終ラインは、まるで「ゆりかご」のように左右のスライドを繰り返す。
加入して間もない冨安は、そんな高度な戦術をほぼ完璧にこなし、攻守両方で機能した。
「戦況」と「チーム全体のバランス」の両方を見ながら的確にポジションを取りつつ、チャンスと見れば攻撃参加とインターセプトに繰り出した。ある時は外側に開き、またある時は中央に絞る──。試合状況に応じた判断が的確で、「安定感」と「エネルギー」という2つの力を瞬時に注ぎ込んだ功績は極めて大きいだろう。冨安がいなければ、アルテタ監督の戦術はここまでスムーズに機能していないのではないか。
ソン・フンミンとの空中戦にことごとく勝利
また、粘り強い守備も特筆に値する。
前半はトッテナムにロングボール攻撃のターゲットにされていたが、ソン・フンミンとの空中戦にことごとく勝利。後半4分には、縦へのドリブル突破を狙う韓国代表をしっかりマークし、バックパスを選ばせた。ソン・フンミンを抑える度に、場内から大きな声援が飛んでいたのが印象的だった。