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ロシアW杯収入5890億円の莫大さ… 「W杯2年ごと開催案」に深まるFIFA対UEFAの対立《ベンゲルは意外にも?賛成派》
posted2021/09/29 17:03
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
フットボールの明日のために、W杯を2年ごとに開催すべきだ──。無茶にも聞こえるそんなアイデアが、現実のものとなるかもしれない。
発端は今年5月、オンラインで開催されたFIFA総会で、サウジアラビア・フットボール協会のヤセル・アルミサヘル会長が提案したことにある。
「フットボールの未来は重大な転換期を迎えている。進行中のパンデミックにより、フットボールが抱えるさまざまな問題は、悪化の一途をたどっている」
そのひと月ほど前に起きた欧州スーパーリーグの騒動の際に、提案者たちが語っていた言葉にも似ているが、これは当初、さほど大きな注目を集めていなかった。近年、この競技のエリートレベルで、カタールやUAE(アブダビ)が派手に振る舞うなか、同じくペルシャ湾岸の原油産出国であるサウジアラビアも存在感を高めたいのだろう。そんな風にも思われた。
それにW杯は4年ごとに開催されるものと、おそらく誰もが考えているはずだ。加えて、すでに詰め込みすぎの日程にさらに大きな大会を組み入れるのは不可能だ。このスポーツに通じる者であれば、おそらく誰もがそう考えたのではないだろうか。
ベンゲルが口にした「未来のフットボール」
ところがFIFAは9月9日、アーセン・ベンゲルをリーダーに据え、この案を実現させるべく、オンラインで会見を行った。かつて名古屋グランパスやアーセナルなどを率い、数々の栄光に浴した思慮深そうに見える元指導者は、“明日のフットボール”と題したプレゼンテーションで次のように話した。
「我々の使命は未来のフットボールを計画し、形作り、地球規模で改良していくことだ」とFIFAのグローバル・フットボール・デベロップメントのチーフを務めるフランス人は語った。
ベンゲルによると、現在、この競技が抱える問題は大きく分けて3つ──選手の健康、無意味な試合の数々、不明瞭な日程だという。そしてそれらを改善するために、選手の移動を減らし、選手の休息を増やし、有意義な試合を増加させ、世界全体のレベル差を縮める必要があると主張する。