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阪神園芸“中の人”に直撃… 雨続きだった夏の甲子園「大変だったけど水はけがよかった」理由とは《大会期間は朝6時半出社》 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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posted2021/10/01 11:03

阪神園芸“中の人”に直撃… 雨続きだった夏の甲子園「大変だったけど水はけがよかった」理由とは《大会期間は朝6時半出社》<Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

プロ野球、高校野球……阪神園芸のグラウンド整備はスケジュールに合わせて動いている

金沢 ええ。同じものを作りたいですけど、先ほども説明したオフシーズンのグラウンド整備をする中で、1~2月の降水量によって出来が変わってしまうのも事実なんです。それに加えて、今年は1つプラスになったことがあるんです。

――というと?

金沢 高校野球に向けて、7月にもグラウンド整備をするんです。先ほども説明した通り、夏の選手権大会は1日で3、4試合と使用しますし、後半戦に向けた準備ということで、1月に作ったグラウンドをもう一度作り直す作業をするんです……ただ2021年は、オリンピックによるプロ野球の中断期間があった。これが大きかったんです。

――なるほど、7月下旬から2週間ほどはエキシビションマッチがあったとはいえ、準備しやすい状況だったんですね。

金沢 そうです。作業予定日の前夜に雨が降ったんですよ。降った後、少し深めにグラウンドを耕してみると、けっこう水気と湿気が残って、いい状態を作っていきやすかったんですよ。その結果、水はけの良さにつながったんです。

 なので来年、同じことをできるかというたら……技術うんぬんだけでなく、天候に左右されるものなので。もちろん「こんな水、蒸発せえへんやん」という年は絶対にないようにしていますよ。

我々、特に若手にとっていい経験だった

――実際、あの豪雨から水を引いていく様子を見ていて、どう感じました?

金沢 あれだけ降って「41分で水が引いた」と報道してくださったメディアもありました。ただ自分自身、あれほど降った状態からその時間で水が引くのは、想定してなかったです。「こんなに早くできるんか……」というのが正直な気持ちです。大変やったけど(笑)。

 雨が上がった時の整備を含めて、回数を重ねないとわからないことは数多いんです。

 そういった意味でもやっぱり、あれだけ雨が降った今夏は我々、特に若手にとって、とてもいい経験ができたと考えてますね。こんな天気というのは今までなかったわけですし、今後の参考にしていけるなと前向きにとらえています。

 まだまだ聞いてみたいことがある。「阪神園芸の甲子園球場以外での業務内容」だ。これについて、久保田晃司社長から直々にお話してもらえることになった。 <第3回に続く>

#3に続く
「えっ、甲子園《神整備》の売上って数%なの?」公園やJクラブの芝生管理…阪神園芸の“知られざる業務”を社長に聞いた

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