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「阪神園芸は神整備だし神対応なのか…」 前夜は雨→甲子園での試合当日朝に《職人の技》をじっくり見せてくれた
posted2021/10/01 11:02
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Satoshi Shigeno
野球ファンはもちろんのこと、スポーツニュースでこの4文字を見るだけで「スポーツ界が誇るプロフェッショナル集団」のイメージを強く持つ人は多いんじゃないだろうか。
阪神園芸。
言わずと知れた阪神甲子園球場の「神整備」の方々である。2017年セ・リーグのクライマックスシリーズ、阪神vsDeNAで筒香嘉智らが泥だらけになりながらタイムリーを放った姿に痛烈な印象があるが、その後の阪神園芸の懸命な整備によって、最終的には第3戦まで開催できた。
また2021年夏の甲子園では異例の雨天順延が続いた中でも、高校球児の夢舞台をしっかりと整えて大会は進み、智弁和歌山の優勝というエンディングを迎えるに至った。
なんと試合前のグラウンド整備を見せてくれる
雨が降って中断するたびに目にする、匠の技。しかしあれほどまで素晴らしいグラウンド整備を保つためには、《試合をしていない時の準備》も相当入念なものなんじゃないか? と思い至った。なので……。
「普段どんなグラウンド整備・管理をしているのか、教えてもらえませんか?」
このようなお願いをしてみたところ、阪神園芸からの返信はOKどころか、なんと試合前のグラウンド整備について見せてくれる、そして甲子園球場の他にもどんな業務をしているのかまで教えてくれるとのことだった。
「神整備だけじゃなくて、神対応までしてくれるのか……」
ただただ感謝しつつ、いざ関西へ。取材前日時点で阪神タイガースも首位に立ってるし、こりゃ景気が良く話も聞けそうだ! とウキウキしてベッドに入って数時間後のこと。夜中ふと起きると、ホテルの窓越しでも聞こえるほどの雨音が。「え、これ、降り続けたら、グラウンド整備が見られない?」とまさかの企画倒れに震えながら朝を迎えた。
夜中に雨が降ってくれたという僥倖
翌朝、明け方のうちに雨は上がっていた。なんとか取材できることに安堵しつつ、試合開催前の午前10時過ぎ、スタジアムへと迎え入れ、説明してくれたのはスポーツ施設本部・甲子園施設部長の金沢健児さんだ。