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阪神園芸“中の人”に直撃… 雨続きだった夏の甲子園「大変だったけど水はけがよかった」理由とは《大会期間は朝6時半出社》
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2021/10/01 11:03
プロ野球、高校野球……阪神園芸のグラウンド整備はスケジュールに合わせて動いている
金沢 弊社にはグラウンドキーパーが15人ほどいて、アルバイトも10人ほど雇うので、トータル25人になります。もちろん、その中で交代で休みを取るので、1日を20~21人ほどで整備しています。ちなみに弊社グラウンドキーパー15人のうち、4人は鳴尾浜に常駐しています。
――タイガースの二軍球場ですね。
金沢 そうです。その4人は高校野球期間中も鳴尾浜に足を運んでいます。15人のキャリアで言えば20年、10年クラスが1人ずつ、ほかは10年未満の若い人たちが業務に取り組んでいます。
1月には耕運機をかけているような状態に
――まさに熟練のハードワークですね……鳴尾浜の話も出たところで少し脱線するんですが、阪神園芸さんのインスタグラムなどを見ていると、阪神のキャンプにも足を運ばれているようですね。
金沢 キャンプだと一軍の沖縄に5人、高知県安芸市での二軍キャンプにも4人が行っていて、甲子園と鳴尾浜に残る組は6人となっています。イベントがないので、1日バタバタと仕事することはない時期ではあります。ただこの期間も甲子園球場がシーズンを迎えるにあたって、とても重要な時期なのです。
――オフシーズンの準備こそ大切、ということですか?
金沢 簡単に説明しますと、1月はグラウンドを耕して、2月中に整備をするんですけど、自然の雨を待ってグラウンドを固めるんです。1日の作業的に言えば、そんなに密度が濃くなく、雨を待って、降ってきたところを利用して……と、人が少なくてもできるようなサイクルで回っているんですよ。
――こちらもインスタで拝見したんですが、1月のグラウンドって「天地返し」と呼んでいるそうですが……どういった作業を具体的にやっているんですか?
金沢 すごく簡単に言うと、畑で耕運機をかけますよね。あの状態です(笑)。実際に同じ耕運機でやっているんです。
「畑の状態」は数日、固めるためには雨が
――甲子園の土もシーズンを迎える前に、耕す必要性があるんですね(笑)。
金沢 そうなんです。具体的な時期で言うと、成人の日をはさむ3連休の前後でしょうか。掘った後にすぐ雨が降ると困るので、1週間の天気を見ながらですが……例えば3連休前にやったら3連休はそのまま置いておきます。そして3連休明けにグラウンドを固めだします。なので「畑の状態」を見られるのはほんの数日なんです。
そこからもう1回、デコボコしているグラウンドを整地していきます。見た目はすぐ戻るんですけど、30センチほど堀り起こしてるので、これを固めるのには雨がいる。いいタイミングでグラウンド整備で固めて……という作業を繰り返していって、最終的にはセンバツの期間中ぐらいにできあがる感じでしょうね。
――1日、1週間では完成しないスパンだとは!