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「同級生の“先生のモノマネ”って面白かったですよね?」 フロンターレ名物・集客企画の担当者が「身内ネタ」感を大切にするワケ 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/09/26 06:00

「同級生の“先生のモノマネ”って面白かったですよね?」 フロンターレ名物・集客企画の担当者が「身内ネタ」感を大切にするワケ<Number Web> photograph by J.LEAGUE

川崎フロンターレの等々力開催と言えば、面白さ満点の企画。集客プロモ担当の人にその発想力の源を聞いてみた

 どういうことだろうか。

 こちらの頭の中にクエスチョンが浮かぶ中、佐藤は言葉を続けた。

「身内ネタって、悪い意味で使われることが多いじゃないですか。これは僕個人の感覚ですが、身内ネタって身内になればものすごい面白いなと思うんですよね(笑)。全ての人にちょっと面白いは、実はそんなに面白くない……無難というか、置きに行った感じがあるので。よく『面白かったものって何かな?』って自分は考えるのですが、自分だけが知っているものって、やっぱり面白いんですよ。例えば中学や高校のとき、同級生がやっていた先生のモノマネってすごく面白かったじゃないですか」

 あぁ、わかる、わかる。

 高校時代、数学教師の癖のある口調を真似た同級生のモノマネは、仲間内での鉄板ギャグだった。完全なる内輪ネタだが、みんなで温度を共有しているからこそ、そこに強い共感が生まれる定番だ。

「フロンターレの身内をどれだけ増やせるか」

「だから、フロンターレの身内をどれだけ増やせるか。例えば選手が何かやるときも、選手のキャラクターを知ってもらえていれば、より面白くなる。そういう身内ネタの楽しさを伝えられるのもフロンターレらしさなのかなって思っています」

 確かに「身内ネタ」と言われると、内輪だけで盛り上がっているというネガティブなニュアンスで揶揄されがちだ。でも、だったらその内輪の枠組みの範囲自体が大きくなるようにしていく。

 たとえスタジアムに足を運んでもらえなくても、クラブに関する話題を他人事ではなく自分事として捉えてもらえるように範囲を広げていく。そうやって、外野にいる人たちをたくさん巻き込んで、どんどん「身内」にしていきたい。サポーターや地域との繋がりも含めて、それが佐藤のスタンスと言えるかもしれない。

 その視点で言えば、湘南ベルマーレ戦で開催される「噂のケンケツSHOW」は、究極の身内ネタかもしれない。

 これは川崎市、神奈川県赤十字血液センターとの三者主催で行なっている、毎年定番の献血推進イベントだ。「笑いで血行促進!!」と銘打ったお笑い芸人のステージ「爆笑レッドカーペット」の他、血液=レッド(赤)に絡めた企画が多いのが特徴だ。過去には、血の気を増やすために献血中にフロンターレの名(迷)場面集や失点集を視聴してもらう珍企画もあったほどである。

「サッカーはよく知らないけど」な人との接点を

「サッカーはよく知らないけど、街で献血したらサッカー選手のキーホルダーをもらえた。そこで『川崎にサッカーチームがあるんだ』と、そういう接点を作るのが我々の仕事です。ストレートに血液の勉強をしてもらおうとしても難しいですからね。今はSNSの発信も大きくなっているので、サポーターの皆さんにも楽しんで乗っかってもらっています」

 今年はそこに新企画が加わった。

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