テニスPRESSBACK NUMBER
<全米OP>史上9度目22年ぶりの“10代対決”も「世界ランク70位以下」…なぜ女子の若手選手は活躍しづらくなったのか?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2021/09/14 11:03
22年ぶりの10代決勝で勝利し、全米OPを制したのは18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)だった
そしてもうひとりのミラクルガールが、フェルナンデスより誕生日が2カ月遅い18歳、エマ・ラドゥカヌ(イギリス)だ。破ってきた相手は、フェルナンデスほど豪華ではない。準々決勝で第11シードのベリンダ・ベンチッチと当たるまでシード勢と対戦せず、続く準決勝で対戦したマリア・サカーリも第17シードだ。しかし世界ランク150位のラドゥカヌがフェルナンデスに勝るミラクルなポイントは、予選から勝ち上がってきたこと、そして1セットも落としていないことだった。
9度目の10代対決になったが「世界ランクが低い」
グランドスラム決勝での10代対決は、オープン化以降これが9度目だった。
過去8回をざっと紹介すれば、1988年の全仏オープン(シュテフィ・グラフ対ナターシャ・ズベレワ)、同年の全米オープン(グラフ対ガブリエラ・サバティーニ)、1989年の全仏(アランチャ・サンチェス・ビカリオ対グラフ)、1991年の全仏(モニカ・セレス対サンチェス・ビカリオ)、1997年の全仏(イバ・マヨーリ対マルチナ・ヒンギス)と全米(ヒンギス対ビーナス・ウィリアムズ)、1999年全豪(ヒンギス対アメリ・モーレスモ)と全米(セリーナ対ヒンギス)だ。
過去の8回と今回がまったく異なる点はランキングである。上記した選手たちはほとんどが当時一桁ランキングで、グラフ、ヒンギス、セレスなどは10代から1位だった。ちなみに、現在のランキングではトップ20に10代の選手はいない。
この22年の間にも10代のチャンピオンは何人も生まれている。マリア・シャラポワの17歳でのウィンブルドン優勝はセンセーショナルだったし、近年でも、一昨年の全米オープンを制したビアンカ・アンドレスクや昨年の全仏オープンで優勝したイガ・シフィオンテクが19歳だった。しかし決勝での10代対決の頻度やランキングを見れば、明らかに10代がトップで活躍しにくい時代になっている。
なぜ10代がトップで活躍しにくくなったのか
要因の一つには、WTAが定める若年選手の出場大会制限があるだろう。