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プロスカウトがココだけに語る「甲子園で評価を上げた6人」 智弁学園・前川右京以外で「確実にドラフト指名される」選手の名は…

posted2021/09/02 11:03

 
プロスカウトがココだけに語る「甲子園で評価を上げた6人」 智弁学園・前川右京以外で「確実にドラフト指名される」選手の名は…<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2本塁打を放って智弁学園の準優勝に貢献した前川右京。彼以外にもプロが注目した選手は多い

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間淳

間淳Jun Aida

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Hideki Sugiyama

智弁和歌山の優勝で幕を閉じた第103回夏の甲子園。プロ野球スカウトの目で中谷仁監督の采配や評価を上げた選手について分析してもらった(全2回/中谷監督の采配編も読む)

 新型コロナウイルス感染による出場辞退や、雨による過去最多となる7度の順延。選手にとって、今夏の甲子園はコンディションやモチベーションの維持が難しい大会となった。大会を終え、次の関心は10月に行われるプロ野球のドラフト会議へと移る。

 異例続きの甲子園で、成長や能力の高さを見せた選手がいた一方、期待通りの活躍ができなかった選手もいる。プロ野球のスカウトが、特に評価の上がったという選手を挙げてもらった。※以下、スカウトの一人称の発言

(1)二松学舎大付・秋山正雲投手

 身長170センチと小柄だが、直球の質は今大会ナンバーワンと感じた。強いバックスピンがかかっているため、ストライクゾーンで勝負できる。

 直球を待っている打者に対しても、ファウルや空振りを取れていた。左腕で140キロを超える直球は魅力で、内外角に投げ分けるコントロールもある。やはり、投手の基本は直球。秋山投手の直球はチェンジアップやカーブ、スライダーといった変化球も生きる。ソフトバンクや巨人で活躍した杉内俊哉さんと重なる。

 投球技術以外もプロ向きと感じさせる。口調は穏やかだが、ピンチや勝負所になると投手の本能が覚醒するように気持ちが入る。臆せず内角を攻め、力を入れるが力まない。ピンチでも動じないタイプに見えた。延長戦で敗れた京都国際戦では3本の本塁打を許したが、そのうち2本のソロは強く吹いていた甲子園の浜風がなければスタンドには入らない打球だった。

 完封した初戦の西日本短大付戦では、雨で柔らかくなったマウンドに対応するため、軸足で踏むプレートの位置を変えて比較的固いところで投球した。プレートの位置が違うとボールの軌道も変わるが、微調整できる器用さと対応力は高校生とは思えない。

 プロもビジターや地方球場では普段のマウンドと違うので、こうした対応力が必要となる。質の高い直球と制球力に、試合終盤でもあまり球威が落ちないスタミナ。計算できる左投手はどこの球団もほしい。確実にドラフトで指名されるだろう。

【次ページ】 (2)北海・木村大成投手

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