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「僕は以前よりも強くなった」イタリア代表にしてインテルの中核、ニコロ・バレッラがコンテ元監督の下で得た成長
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/08/26 17:00
セリエAの最優秀MFに選ばれる活躍で、攻撃的MFとしてインテルのスクデッド獲得に貢献したバレッラ
――昨年6月13日の再開以降、ほぼまる1年試合が続いていますが……。
「ELは決勝に進みセビージャに敗れた。その後に5日間の休暇があったが、敗戦を引きずって気持ちの切り替えができなかった。それから9月のはじめには代表の3連戦があった」
――9月26日に開幕したリーグでは、試合過多への不安はありませんでしたか?
「試合前にひどく疲れていると感じることがしばしばあった。『どうすればプレーができるか』と自問した。代表ウィークでは常に3連戦を強いられた。だが使命感と情熱が、疲労を忘れさせてくれた。さらにスクデットがかかっていたから、フィジカル面での消耗もいとわなかった」
CL敗退のわずかな恩恵
――昨年12月にCLでの敗退が決まり、国内タイトルの獲得が義務のように感じられましたか?
「CLをグループ最下位で終えたのは本当に酷かった(同じグループにはレアル・マドリーとボルシアMG、シャフタール)。最終戦に勝つことがグループリーグ突破の最低条件という状況で、自ら招いた失態だった(12月9日にホームにシャフタールを迎えた試合でインテルは0対0と引き分けに終わった)。ただ、敗退が決まる前からスクデットは目標だった。結果的にリーグに集中できたから、却ってよかったのかも知れない」
――システムを3−4−1−2から3−5−2に戻し、チームの重心をより低くしたのが戦術的な転換点でしたか?
「攻撃的なスタイルで僕らはシーズンをスタートしたが、後方にできた広大なスペースを相手に突かれた。それは疲労の問題でもあった。あのやり方を実践するために必要なフィジカルコンディションを欠いていた。前のシーズンはリーグ最少失点だったのに、どうすればいいかを監督と徹底的に話し合った。そこで得た結論が、重心を少し後退させて、ポテンシャルをより効果的に発揮するやり方だった。具体的にはロミー(ロメル・ルカクの愛称。現在はチェルシーに移籍)とローティ(ラウタロ・マルティネスの愛称)と僕によるカウンターアタックだ。自分たちの良さを出すために、後方では少し我慢することにした」
――それがインテルは慎重すぎるという論議を呼びました。妥当な批判だったと思いますか?
「他の監督やかつての選手たち、ジャーナリストにもそれぞれ自分の意見があり、僕はそれを尊重している。だが、アタランタに抜かれるまで僕らは長いことリーグ最多得点だったし(最終的にアタランタの90得点に次ぐ89得点)、失点はリーグ最少だ(35失点。2位はユベントスの38失点)。そのうえリーグにも優勝した。そんなチームがどうして批判されなければならないのか。
別のスタイル――たとえばポゼッションを志向するならそれでもいい。でもインテルは、自分たちの特徴を生かしたスタイルを採用した。ローティとロミー、それにアクラフ・ハキミ(註:現在はパリ・サンジェルマンに移籍)でゴールにストレートに迫れるチームが、どうしてポゼッションをしなければならないのか」
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