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「僕は以前よりも強くなった」イタリア代表にしてインテルの中核、ニコロ・バレッラがコンテ元監督の下で得た成長
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/08/26 17:00
セリエAの最優秀MFに選ばれる活躍で、攻撃的MFとしてインテルのスクデッド獲得に貢献したバレッラ
「まず彼を監督に選んだクラブの勇断を讃えるべきだし、それから彼が選んだ選手たちが優れたグループを形成して1年で大きな進歩を遂げたことを評価すべきだ。コンテは大きな推進力であり、選手は試合の準備から勝利への意欲まで彼の望むすべてを体現した」
――しばらく前からインテルは質の高い戦力を有していました。違いはもっぱらメンタル面ではないかと……。
「それはコンテのインタビューからもうかがえる。彼はストレートな人間だ。不満があればハッキリと言うから僕らも分かりやすい。僕らは最速でことを進めねばならなかった。練習でも緩んでいる暇はまったくなく、常に彼の要求に応えられるようにする。あるものは自分の力を示したいし、別のものは汚名を返上したい。望ましい方向に状況は向かった」
――彼は誰にもできないやり方でチームをまとめていき……。
「以前から知られている彼独自のやり方がある。試合を見さえすればそれはよくわかる。すべてにおいて彼は有能だ。メンタル面だけに限らず、戦術や練習のやり方も秀でている。そのメカニズムに入り込んでいくのは簡単ではない。去年の僕らはコンテのチームだったけど、今年はコンテの完璧なチームになった。雰囲気もよく、笑いあっているし常に冗談を言い合っている。軍隊のような厳しさだけのチームではない。日曜日の勝利を目指すという目標だけは変わらなかったが」
インテルでポジションを得る方法
――集中力を失くした選手をどうやって再生させましたか?
「僕は彼のグループに入っていたけど、昨シーズンのはじめはプレーの機会がほとんどなかった。というのも彼のメンタリティにすぐには入っていけなかったからだ。僕には時間が必要だったし、あのころスタメンを確保していたのはそれに値する選手たちだった」
――個人的にはどんなことを彼から得ましたか?
「監督がよく言うのは『自分は兄のような存在』ということだ。実際その通りで、僕らの関係はストレートで率直だ。話し合うべきときは話し合うし、ピッチに立てないときはその理由をよくわかっている。自分が十分な状態ではないということを。
カリアリ時代の僕はプロタゴニスト(中心選手)だった。ポジション獲得のために練習で毎日競い合うことはなかった。ここではメンタルの強化が必要だったし、それで壁を乗り越えた。監督には確固たるシェーマ(図式)があり、僕らは彼の言うことを実践する。僕もそれで以前よりも強くなったと感じている」