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ユーべ王朝崩壊! 攻撃的インテルが11年ぶりに優勝できたワケ…大一番での「ウノ・ア・ゼロ」と闘将コンテの“勝利欲”
posted2021/05/19 17:02
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
インテルが11年ぶりのセリエA優勝を果たした。
エースFWルカクの活躍やリーグ最少失点の守備陣、2年目の闘将コンテの統率力が、4試合を残してのリーグ制覇をもたらした。
シーズンの分水嶺は、強豪ラツィオを下してついにポイントリーダーに立った聖バレンタインデーの第22節ラツィオ戦(3-1)と、当時2位のミランを完璧に叩いて首位固めに成功した第23節ミラノ・ダービー(3-0)の2連戦とされている。また、宿敵ユベントスを2-0で下した第18節のホームゲームもシーズンの大一番だった。
しかし、筆者が今季のインテルに初めてタイトルの気配を強く感じたのは、3月8日の第26節アタランタ戦だ。
54分にMFエリクセンが蹴った右CKの混戦から、DFシュクリニアルのゴールで1-0とした後、泥臭く逃げ切った。
"ウノ・ア・ゼロ(1-0)"で勝ち点3をもぎ取ったあの試合こそ、本当の"スクデット・ゲーム"ではなかったか。
堅牢な守備陣と超強力デュオ"Lu-Laコンビ"
就任2年目を迎えた指揮官コンテは開幕当初、MFエリクセンをトップ下に置き、攻撃力を前面に打ち出した3-4-1-2を用いたが、開幕2戦で5失点を喫し、軌道修正を図った。
プレスを抑え、重心をやや下げながら中盤を5枚にして、後方の守備フェーズをコンパクトに凝縮。シュクリニアルとデフライ、バストーニの「SDBトリオ」は水も漏らさぬ堅牢な最終ラインとして成熟の度合いを深めていった。優勝決定時点でのクリーンシート14回は、もちろんリーグ最多だ。
両サイドではMFハキミとMFペリシッチが攻守に駆け回った。2列目から飛び出したMFビダルとMFバレッラが2点を奪って快勝したユーベ戦では「あいつらを倒せる」と自信をつけた。