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日本人のフィジカルが韓国人よりも劣っているのはなぜ? 元Kリーグのトレーナーが驚いた育成年代の「食」
posted2021/08/25 17:00
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph by
Tomoo Tsukoshi
韓国人のフィジカルは日本人よりなぜ優れているのか――。
ことサッカーという競技において、ライバル関係にある両国のその問いを解き明かすことは容易ではない。抽象的なイメージの域を出ないが、世界最高峰のプレミアリーグで活躍するソン・フンミン(トットナム)など、一部の選手を切り取るとそんな印象を持つ人もいるのではないだろうか。
その難題を読み解く上で、両国の育成事情に明るい最適な人物がいる。津越智雄、41歳。2016年から昨季までKリーグの蔚山現代FCのフィジカルコーチを務め、20年にはACL優勝にも貢献した。
和歌山県の高校から筑波大学へと進学した津越は、選手としてJリーグ加盟前の栃木SCなどでプレー。現役生活と並行しながら同大学院へ進み、そこで体のメカニズムについて学んだ。
大学院修了と同じタイミングで現役を退いた後は、東京ヴェルディのアカデミーやトップチームでフィジカルコーチを8年間務め、日テレ・ベレーザのコーチを経て14年には中国乙級リーグ(3部)の監督へも就任している。その後はフィジカルの専門家として京都サンガ、サガン鳥栖に貢献。16年に韓国へとわたり、今春からは町田ゼルビアに招かれ、再びJリーグの舞台に戻ってきた。
いわば津越は、JリーグとKリーグのフィジカルトレーニングの最前線を知る人物、と言っても差し支えないのだ。そんな男に冒頭の問いを投げかけたところ、少し間を置いて、こんな意見を述べた。
「前提として、どちらの国の(育成)方法が正しくて、間違っているという話ではありません。ただ、ことフィジカルに関しては、数値やデータに目を通すと韓国が上回っている点が多いのも事実です。それは育成に関するアプローチの手法が全く異なることに起因します」