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ポゼッション放棄でも「危険を感じたことは一度もない」インテルのMFニコロ・バレッラが明かす、カウンターサッカーの真髄

posted2021/08/26 17:01

 
ポゼッション放棄でも「危険を感じたことは一度もない」インテルのMFニコロ・バレッラが明かす、カウンターサッカーの真髄<Number Web> photograph by L’Équipe

FWのラウタロ・マルティネスと得点を喜ぶバレッラ。ルカクが移籍し、2人のホットラインがより重要になる

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 ニコロ・バレッラインタビューの後編である。前編から続くインテルの守備的なプレースタイルについて、イタリア代表や家族、趣味など私生活についてと話題は移っていく。

 このインタビュー掲載の直後、インテルはアントニオ・コンテ監督の電撃辞任という激震に見舞われた。さらにはエースのロメル・ルカクとアクラフ・ハキミ、アシュリー・ヤングの移籍で、今季のインテルは軌道修正を余儀なくされた。バレッラのコメントからは、コンテへの絶大な信頼が感じられるだけに、彼とインテルの今後の展開に注目していきたい。(全2回の2回目/#1から続く・肩書などは掲載当時のままです)

(田村修一)

ポゼッションを放棄しても危険は感じない

――面白いデータがあります。インテルはボール保持率50%以下で13試合に勝利しました。こんなチームはセリエAでも他にありません。

「なんでそんなことが可能かという疑問が浮かぶかも知れない。たとえばサッスオーロはポゼッション志向の大胆なチームで、インテルに限らずどんなチームが相手でもイニシアチブを握ろうとする。アタランタも超攻撃的で選手はアグレッシブだ。

 いい精神状態とは、こう認める謙虚さを持つことだと思う。

『ポゼッション志向のチームと戦っている。彼らは(GKを除く)10人全員が僕らの陣内でプレーしようとし、そのうちのたったひとりだけがロメルに対応している』と。

 だが、本当にそのひとりがロメルに1対1で勝てるのだろうか? どんなやり方にもメリットとデメリットがある。僕らもシーズン当初は10人が相手陣内でプレーしたが、カウンターアタックで多くの失点を喫した。それでも意固地になる必要はどこにもない。ポゼッションで60%を達成できたと言うためか。サッカーはそんなものではないと僕は思う」

――たしかにポゼッションは放棄しましたが、相手に自由にプレーさせてはいません。アタッキングサードでの支配率はわずか11%に過ぎませんから。

「ピッチの上では常に連帯感を感じている。後ろはとても強固で、危険を感じたことは一度もない。その前方に広がる50mのスペースは、僕らの攻撃にとって豊かな鉱脈以外の何ものでもない」

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