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日本スケボー界のレジェンドに聞く“堀米雄斗はどれだけスゴイ?”「修行というか、鍛錬の極みと言ってもいいレベル」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAFLO
posted2021/08/26 11:05
堀米雄斗ら日本勢による東京五輪の大活躍で注目を集めたスケートボード。日本のレジェンドには“五輪のスケートボード競技”はどう見えたのだろうか?
「雄斗はいくつかトリックのバリエーションを持っているけど、今回はノーリーのブラインドサイド側のトリックが多かった。本人は『スピンばっかりでダサかったけどしょうがなかった』と言っていたみたいですね。でも今回は追い詰められた展開だったのもあるし、ノーリーの270からのテールスライドとか本当はあんな巨大なサイズのセクションでやる技じゃないんですよ。普通の縁石でやる人間も見ないくらい。それができるのは世界で雄斗ぐらいでしょ。瀬尻稜的に言ったらゴン攻めのビタビタですよ(笑)」
堀米が見せる圧巻の滑りの理由の1つは、ストリートと並行してやってきたバーチカルにあると岡田は考えている。
スノーボードのハーフパイプのようなU字型のセクションを滑るバーチカルを堀米は父・亮太さんとともに子どもの頃から日常的に滑ってきた。その経験を基に'18年世界選手権のパーク種目で6位になったように、一時はストリートとパークの両種目での五輪出場も目されていたほどの万能タイプ。
「僕らよりちょっと前の時代の人たちはストリートとかバーチカルを分けずに全部やっていたんです。確かにバーチカルをやっていると、恐怖心とかスケールに慣れるという面ですごくいい。そこからストリートに入ってきた人はみんなスケボーがうまくて、エリック・コストンとかもそうだったし、なんかアメージングな動きもできちゃうんですよね」
「スケボー=若者」を覆す“46歳スケーターの五輪参加”
スケートボード4種目のうち、唯一日本人以外が金メダルに輝いたパーク男子にも胸を打つものはあった。それは『スケートボード=若者文化』という固定観念を覆す2人の46歳のスケーターの存在である。
「パークの男子は年齢層が幅広くてすごく素敵だった。デンマークのルーン・グリフバーグって世界的なレジェンドなんですよ。僕らが子供の時に見てたバーチカルのプロで、彼の出ているビデオも見ていたし、好きなスケーターの1人だったんです」
もう1人の46歳は、南アフリカから出場したダラス・オーバーホルザーである。五輪出場権ランキングでは57位。コンテストでさしたる実績はなく、五輪ならではの各大陸から1人は出場権を与えるという「大陸枠」で拾われた選手だ。岡田も初めて耳にする名前だった。