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若者たちに不人気な「スポーツ観戦」…東京五輪で若年層の視聴率は伸びた? プロ野球中継のメイン視聴者は“75歳以上”説も…

posted2021/08/27 17:02

 
若者たちに不人気な「スポーツ観戦」…東京五輪で若年層の視聴率は伸びた? プロ野球中継のメイン視聴者は“75歳以上”説も…<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪で正式種目に追加されたBMXフリースタイル。写真は5位に入賞した中村輪夢(19歳)

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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 若者はテレビを見ない、そして「スポーツ観戦」をしない――。ここ数年、指摘されている傾向だ。では自国開催となった東京五輪は若者たちの“習慣”を変えることができたのだろうか(全2回の1回目/後編へ)。

 外にはコロナ禍におびえて開催をあやぶむ多くの声。内では大会運営に関わる重要人物が相次いで離脱する混乱の数々……そんな逆風の中で行われた東京五輪だったが、騒動もどこ吹く風とばかりに日本選手団は史上最多のメダルを獲得し、その勇姿に大多数の国民は湧いた。特にスケートボードでは10代~20代前半の日本人選手が表彰台に立ち、新たなスターが誕生している。

 もっとも、その華やかさの裏側で、興行イベントとしての五輪には危機感も漂う。それを象徴するのが、上記のスケートボードの他、BMXフリースタイル、スポーツクライミング、3人制バスケットボールなど、若者に人気の都市型スポーツ。今大会から正式に追加された種目だが、これは若者の「五輪離れ」を危惧したIOCによる肝いりの施策なのだ。

 なにしろ、アメリカの放送局NBCでは、2016年リオ大会のプライムタイム(19時~23時)における視聴率は2012年ロンドン大会に比べ17%減少し、18歳~49歳の視聴層では25%も減少。今回の東京大会も、リオ大会に比べると視聴者数は51%減ったという。

大谷が出場したMLBオールスターは“視聴率4.5%”だった

 この潮流は昨日や今日に始まったものではない。大手コンサル企業PwC(本社:英ロンドン)は、2017年に世界のスポーツ産業にかかわるさまざまな業界の高位役職者189人にアンケートを取り、その結果を「PwCスポーツ産業調査2017」としてまとめている。その中で、「スポーツ業界が最も懸念すべき脅威」として最多の回答を得たのは「若い消費者層の行動変化」だった。とりわけ放送関係者は視聴者数の減少を悲観的に見ており、若年層のメディア消費のほとんどがスマホかつオンデマンドに移行していく中で、もはや諦めの境地だ。「テレビの生放送を見るという行動は、ミレニアル世代やそれよりも若い世代のライフスタイルとは相いれなくなりつつある」とレポートではバッサリと結論づけている。

 若者を獲得できない産業は、先細りから逃れられない。かくしてアメリカにおけるスポーツ生放送の視聴率や視聴者数の低下は深刻であり、昨年のNBAファイナルの視聴者は前年比51%減、ゴルフとテニスの全米オープンも40%ほど視聴者が減っている。大谷翔平選手が出場した今年の大リーグオールスター戦ですらテレビ視聴率は4.5%にとどまり、過去最低の数字を更新してしまった。

プロ野球中継「メイン視聴者」は75歳以上?

 一方、日本でも視聴率の低下により2000年代初頭から地上波でのプロ野球中継がほぼ消滅。メディアアナリストの鈴木祐司氏はプロ野球中継が没落した原因をこう話す。

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