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日本スケボー界のレジェンドに聞く“堀米雄斗はどれだけスゴイ?”「修行というか、鍛錬の極みと言ってもいいレベル」 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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posted2021/08/26 11:05

日本スケボー界のレジェンドに聞く“堀米雄斗はどれだけスゴイ?”「修行というか、鍛錬の極みと言ってもいいレベル」<Number Web> photograph by AFLO

堀米雄斗ら日本勢による東京五輪の大活躍で注目を集めたスケートボード。日本のレジェンドには“五輪のスケートボード競技”はどう見えたのだろうか?

「スケートボードという星形のブロックを、急にオリンピックだ、スポーツだと四角い枠組みを持ってきて通そうとしたって無理だと思う。だから強引にところてんみたいにストンと落とすしかない」

 だが、スケートボードや新時代のスケーターたちは想像以上にずっとしなやかだった。四角い枠に押し曲げられることなく、それどころか四角い枠組みを星形に押し広げて通り抜けていった。

「しかもそれをパワープレーじゃなくて、スムーズに通って人々の心に刺さった。何か時代の流れもあるのかなと思いますね。僕は俯瞰でしかスポーツを見ていないけど、スポーツ界も色々な問題が出てきたり、スポ根の時代じゃないよみたいな議論がある中で、スケートボードのバイブスが他競技の選手にも響いたし、スケーターもきっと他のオリンピアンから影響を受けたところがたくさんあると思う。うまく相互作用が生まれていたのが感動的で、すごく幸せな時間でした」

堀米雄斗の滑りは「常軌を逸している」

 印象に残ったシーンは数多くある。しかし、岡田にとって最もインパクトがあったのはやはり堀米雄斗の滑りだった。日本チームの先陣を切った男子ストリートでの金メダルが、スケートボードムーブメントを生み出す導火線になったことは間違いない。その滑りは岡田をして「常軌を逸している」と思わせるほどだった。

「あれを見て『スケボーかっこいいから始めよう』と思っても、あそこには一生たどり着けないかもしれない。いざ始めてみたら、そのことに気づくと思います(笑)。修行というか、鍛錬の極みと言ってもいいレベル。それを楽しくやってあそこに到達しているから、もう楽しさの質が違うんですよ。

 よく言うじゃないですか。楽しく滑ればいいって。そういう一般の人が思っているレベルとは全然違う。苦しさとか怖さとかしんどさとか、全部ひっくるめて楽しんでる、雄斗の場合は。スケーターはみんな(トリックを)メイクするときの高揚感に取り憑かれている部分はあるんですけど、それにしてもあのレベルは神がかってますね」

 失敗の許されない状況からベストトリックで次々に高難度の技を成功させていく度胸、それを地元開催のオリンピックという特別な重圧のかかる舞台でやってのける勝負強さは、岡田自身がスケーターであるからこそ、どれだけ困難であるかが余計にわかったのだ。

【次ページ】 五輪でのトリック「できるのは世界で雄斗ぐらい」

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