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「こんなにお行儀のいいデモは…」「コンビニの冷やし中華は、最高」英国メディアの記者が見た東京五輪、不思議なTOKYOの街とは?
posted2021/08/12 17:02
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
東京オリンピックが閉幕して、早4日。大会前に多数を占めた開催反対の意見、開催期間中の感染拡大と、史上最高のメダル数を記録した日本代表の健闘……さまざまな要素が絡み合ったTokyoの夏をそれぞれの海外の記者はどう振り返るのだろうか。
2012年ロンドン大会での取材経験もあり、ブロードシートと呼ばれる大手イギリス全国紙『アイ・ニュース』のチーフスポーツライターのケビン・ガーサイド記者、そして同紙でスポーツ編集を務めるマット・バトラー記者に、帰国してひと段落がついた10日に話を聞くことができた。
◇◇◇
――以前に取材を経験した過去のオリンピックと比べ、東京オリンピックの運営をどう見ていますか?
ガーサイド記者:競技場や、交通ネットワークなどのインフラ面は、やはり東京は世界トップレベルです。10年以上前になりますが、F1の取材で鈴鹿サーキットや富士スピードウェイに取材に行った経験があり、日本ではどのような形で仕事をすることになるかある程度知っていました。コロナ関連の規制により色々と普段とは違う運営となったのは、仕方がないとしか言いようがありません。
バトラー記者:私は以前日本に3年間住んでいた経験もあり、日本語も話せるので、他の外国人記者たちに比べて不便に遭うことも少なかったと思います。また、開催都市がどこであれ、オリンピックはIOCが主催する大会。コロナ関連の規制を除けば、ロンドンオリンピックの時とそれほど大きな運営の違いはなかったように思えます。
大きな違いと言えば、ロンドンの時はボランティアの人たちが疲れている時に不機嫌な態度で対応してくることもありましたが、東京のボランティアの人たちはどんなに疲れていても、常に笑顔で親切に対応してくれました。
《両記者ともに日本での取材経験があったことで、比較的冷静に今大会の運営面を見ることができたのだろう。約3週間にわたる滞在で、陸上、水泳、テコンドーなどの伝統的な競技だけでなく、スケートボード、BMXなどの注目の新種目の取材にも走り回ったという》
――真夏の東京での大会。気候については?
ガーサイド記者:私自身は暑さと湿気に参りました。でも、話した選手たちのなかで気候について文句を言う選手はいませんでした。暑さや湿気がどうとかではなく、とにかく、大会が開催されて良かったという声ばかりでした。
バトラー記者:全く日陰がない会場で競技が行われたスケートボードの選手たちは暑さに苦しめられたと聞きましたが、他には気候を問題視する意見は聞きませんでした。選手たちは皆、真夏の東京が暑いことは知っており、色々と対策を立てていたようです。
《天気の文句を言うことが国民性だと揶揄されるイギリス人が、真夏の東京の暑さに文句を言わなかったというのは、皮肉な朗報。大会開催自体の是非が問われるなかで出場を果たした選手たちにとっては、東京の暑さも夢の舞台の一部に過ぎなかったのかもしれない》