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「慣れないことをやらせないこと…」金を目指す稲葉ジャパンの“2つの不安要素”とは? G.G.佐藤“2度の落球”と岩瀬の“乱調”に学ぶ〈北京の教訓〉
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byAFLO
posted2021/07/26 17:03
北京五輪では“2度”落球したG.G.佐藤。東京五輪にも生かせる“教訓”とは?
いきなりの3連打からあっという間に4失点。準決勝でも負け投手になり、本来の投球ができないまま終わった。リリーフ一筋で生きてきた左腕だ。イニングまたぎの経験ももちろんある。最初から拒んだわけでも、覚悟が足りなかったからでもない。ただ「交代」と言われればスイッチを切るのもリリーバーに染みついた習性だ。再起動は容易ではなかった。
岩瀬は選手たちへエール「慣れないことをやらせないこと」
その岩瀬さんは「東京」を戦う24人の侍たちに、こんなメッセージを送っている。
「北京ではお客さんも少なく、普段とは違う沈黙に近いプレッシャーもあった。今回はグラウンドやホテルなどの環境面は心配ないですよね。無観客になるけど、去年あたりからある程度は沈黙にも慣れている。あとは選手に慣れないことをなるべくやらせないことじゃないでしょうか」
この「慣れないこと」には山本のリリーフ登板も含まれているかもしれない。滅私奉公は当然と選手は思っているが「やれて当然」は実は違う。鈴木のセンター、山本のリリーフ。どちらも「やります」と言うだろうし、それは日本人の美徳でもある。
しかし、首脳陣は冷静に「やれる選手」か「やれない選手」かを見極めて、事前に「小さな石」を取り除かねばならない。幸い、稲葉監督は北京五輪経験者だ。佐藤が落とすのも岩瀬が打たれたのも見た。就任後もことあるごとに「やりなれないポジションを無理にやらせるのではなく、しっかり確認していく」と話している。
北京の教訓は、侍ジャパンの財産として生かされなければならない。