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東京五輪日本代表、捕手・會澤翼の辞退がかなりの“痛手”であるワケ…北京五輪では星野監督の“猛抗議”で失敗した「審判問題」
posted2021/06/18 12:20
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
AFLO
東京五輪の野球日本代表はメンバー発表の翌日に、故障で広島・會澤翼捕手が代表入りを辞退するアクシデントに見舞われることになった。
東京五輪の侍ジャパンはベンチ入り24人という限られた選手数の中で捕手は2人制で臨むことを決めていた。そこで選ばれたのが會澤とソフトバンクの甲斐拓也捕手の2人だった。
その中で今季の會澤は下半身のコンディション不良で5月4日に一軍登録を抹消されて、そもそも五輪に間に合うかどうかが危ぶまれる状況だった。
稲葉監督が會澤の招集にこだわった理由
実際問題として5月31日に行われた代表メンバーの最終選考会議の時点ではチームでもまだ戦線復帰しておらず、ようやく6月3日に一軍に登録されたばかりだ。実戦の中でのコンディションがどうなのか、代表として動ける状態にあるのか等々は、全く未知数のままだったが、それでも稲葉篤紀監督は會澤の招集を決めていた訳である。
もちろんこの2人の他にも好調阪神を引っ張って攻守に存在感を見せている梅野隆太郎捕手や過去の国際大会で実績のある巨人・小林誠司捕手などの名前も候補として上がった。それでも稲葉監督は不確定要素の大きかった會澤の招集にこだわり続けた訳である。
それくらいに會澤の評価は高く、だからこそ今回の辞退が、稲葉監督にとっては大きな痛手であることは間違いないことだった。
指揮官の會澤へのこだわりの背景には、侍ジャパンが“世界一”を奪回した2019年の「プレミア12」で見せた會澤の捕手としての洞察力、視野の広さに尽きるのだと思う。
「プレミア12」には會澤と甲斐に加えて巨人の小林の3捕手が招集された。