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王者ソフトバンク、なぜ“まさかの”前半戦4位に終わった? 12球団ワーストの“ある数字”「生え抜きスターが足りない」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2021/07/18 17:02

王者ソフトバンク、なぜ“まさかの”前半戦4位に終わった? 12球団ワーストの“ある数字”「生え抜きスターが足りない」<Number Web> photograph by KYODO

ダイエーホークス時代の(左から)城島健司、松中信彦、井口資仁。写真の03年、リーグ優勝&日本一を果たした

 僅差の試合を勝てないチームは投手陣に弱点がある場合が多いが、ホークスは先述したように12球団一のブルペン力を誇る。言わずもがな弱点は打線だ。前半戦の中でも特に6月あたりは目を覆いたくなる惨状だった。6月は月間23試合も戦って、チーム打率が.217しかなかった。

 日本シリーズ5連覇の前の大目標となる2年連続リーグ優勝のために、絶対に欠かせない戦力はグラシアルだ。今季離脱までに37試合に出場して打率.304、5本塁打、15打点の成績を残していた。

 デスパイネとバレンティンという外国人大砲はいるが、チームに安定をもたらすのはグラシアルだ。

 安定と書いたが、安心感と言い換えることもできる。

「小久保、松中、城島、井口…」生え抜きスター打線が見たい

 小久保裕紀ヘッドコーチは「このチームの中心は柳田」と断言する。異論はないのだが、今季に限らず近年のホークスを見ていると、そう言いきれないのではないか。ホークスが強い時、柳田という軸の前か後ろには外国人打者が座っていた。それがグラシアルであり、デスパイネであり、遡れば李大浩だった。

 李大浩は14年と15年にホークスでプレーし、連覇に大きく貢献した。その彼が退団した16年は優勝を逃した。破壊力不足を痛感した球団フロントはデスパイネ獲得に動き、17年のV奪回につなげた。

 彼らは強打者としてチームを支えているだけでなく、1人の人間としても魅力的でチームの中で若手の手本になることもある。

 ただ、外国人バッターに依存せざるを得ない状況があまりにも続き過ぎている。かつてのダイエーのように「小久保、松中、城島、井口」という生え抜きスターが並ぶ打線を再び……。正直、そんな期待をどこか持っている。

 五輪中断期間にはエキシビションマッチが行われる。後半戦の巻き返しに向けた大事な実戦の場だ。「お試し」の余裕などあまりないかもしれないが、未来のホークスを担う打者が「一軍」でどれだけ戦えるのか見てみたいと思っている。

 その一番手として名前が挙がるのはリチャードだ。まだ一軍経験のない4年目の大型野手。ウエスタン・リーグで8本塁打、40打点は二冠王だ。打率.220しかないのが玉に瑕だが、強打者となれる要素は十分備えている。

 そして、個人的に是非エキシビションマッチで打席に立つのを見たいのが、ドラフト1位新人の井上朋也だ。花咲徳栄高校から入団した18歳内野手だが、とにかく打撃の対応力が高い。一軍のボールでも、慣れさえすれば一定の結果を残すのではないかと考えている。

 勝利と育成の両立ほど難しいものはないが、エキシビションマッチという今年しかないこの機会。せっかくなのだから、生かさない手はない。

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