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王者ソフトバンク、なぜ“まさかの”前半戦4位に終わった? 12球団ワーストの“ある数字”「生え抜きスターが足りない」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/07/18 17:02
ダイエーホークス時代の(左から)城島健司、松中信彦、井口資仁。写真の03年、リーグ優勝&日本一を果たした
もう1人が泉圭輔。夏場になりコンディションを落としてファーム調整となっているが、シーズン序盤は「困ったら泉」とばかりに短いイニングだけでなく回またぎもこなすなどフル回転した。
野手でも9年目の真砂勇介がようやく殻を破ろうとしている。6月5日、甲子園球場でのタイガース戦では初クリーンナップとなる5番に抜てきされ、逆転勝ちの口火となるタイムリーを放った。ここまで88試合中71試合に出場し、すでにキャリアハイを大きく更新している。右打ちの柳田と評され「ミギータ」の異名をとった男に開花の時が訪れている。
そして、周東と牧原を欠いたポジションに滑り込んだのは22歳の三森大貴だ。交流戦明けの6月18日以降、「1番二塁」のスタメンに名を連ねて続けている。前半戦ラストの試合が5打数1安打で打率3割を切ったものの.298は立派な数字だ。
ほかにも、6月19日のファイターズ戦では6年目で念願のプロデビューをスタメンで果たし、プロ初安打を会心のプロ1号本塁打で飾るド派手な活躍を見せた谷川原健太。7月11日のバファローズ戦でプロ初打点を挙げ、翌12日のイーグルス戦でも2打点をマークした20歳の野村大樹。開幕時には「計算」に入っていなかった若いパワーがチームを盛り上げ、ファンを喜ばせた。
12球団ワーストの“ある勝率”
飛車角落ちどころではないホークスだったが、パ・リーグ4位とはいえ37勝37敗14分で勝率5割を保持し、首位までのゲーム差は「4」しか離れていない。
工藤監督の「十分逆転も出来るし、何も悲観することはない。我々は優勝を目指しているチームなので、後ろを向くことなく、しっかり前を向いて進むのが大事」との言葉は決して強がりではなく、現実的なものとして受け止めることが出来るだろう。
プロ野球は長い中断期間に入った。リーグ戦再開は8月13日だ。ホークスにとって、この変則日程は非常にありがたい。チーム状況の立て直しと整理はもちろん、「(離脱している)選手が戻れば、雰囲気も変わる」と工藤監督が語るのも当然だ。
後半戦の巻き返しへ、何よりも改善が必要なのは攻撃陣だ。
1つ、ペナントを制するうえでポイントとなるだろう数字ある。前半戦の1点差試合をホークスは6勝13敗と大きく負け越した。それに限れば、12球団ワーストの勝率だった。