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赤字続きでドン底だった地方競馬の“犠牲”に…“消えた競馬場” 栃木で愛された「宇都宮競馬場」今は何がある? 跡地に行った話 

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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photograph byJIJI PRESS

posted2021/08/31 11:06

赤字続きでドン底だった地方競馬の“犠牲”に…“消えた競馬場” 栃木で愛された「宇都宮競馬場」今は何がある? 跡地に行った話<Number Web> photograph by JIJI PRESS

宇都宮競馬場が輩出した名馬ドージマファイター。「栃木の怪物」とも呼ばれた。写真は27連勝を記録したレース(足利競馬場で撮影)

 そんな宇都宮競馬場の跡地は、どうなっているのだろうか。もちろんいまは馬が走っているわけもない。栃木といってもイチゴ畑に生まれ変わっているなどということもないだろう。それに競馬場はかなり広い。1周1200mは競馬場の中では小ぶりだが、陸上競技のトラックが1周400mだから単純計算でも“9倍”の広さだ。加えて周囲にはお馬さんが暮らす厩舎や厩務員たちの住まいもあった。それだけ広大な施設が忽然と姿を消したわけで、その跡地がどうなっているのかは実に気になるところではないか。

宇都宮競馬場の“最寄り駅”には何がある?

 宇都宮競馬場の最寄り駅は東武宇都宮線の西川田駅である。この駅からはかつて大谷石を運ぶための路線が分かれていた、という鉄道ファンが好きそうなエピソードもあるが、それはまったく別の話なので今回は目もくれない。

 西川田駅は宇都宮の中心市街地にある東武宇都宮駅からは電車で8分。ご存知“(半蔵門線の)ナゾの終着駅“南栗橋駅からだと1時間強という場所だ。(競馬場まで)不便じゃないかと思われるかもしれないが、地方はだいたいクルマ社会だし、当時はJR宇都宮駅からのシャトルバスも出ていたのだろう。

 そういうわけで今回は南栗橋駅から延々と、90分にわたる電車の旅をして西川田駅にやってきた。島式のホームがひとつあって、上り列車と下り列車がホームの両側に停まるありふれた構造の駅だ。ちょっと普通と違うのは、ホームが少し広いような気がする、といったことくらいか。あとはトイレが改装を終えたばかりのようで、ピカピカに輝いていた。

 ホームの宇都宮寄りにある改札口を抜け、地下道を通って外に出る。元競馬場の場所は、西川田駅の東口から歩いて数分だ。

 駅前は……というと、競馬場が廃止されてからもう15年。そんな雰囲気はまったくなくて、駅の周りは住宅地。部活帰りの学生がジュースを飲みながらおしゃべりに興じている。もちろん馬の香りも漂ってこないので、競馬場の近くに来た感じも味わえない。当たり前ですけどね。

「馬具屋さん」と「第4駐車場」

 駅前からはしばらく線路に沿って北に歩き、踏切のところを右に曲がる。地図によると、この踏切の通りは「競馬場通り」というらしい。そこそこのクルマ通りはあるが、どこにでもありそうな住宅地の中の道だ。

 ところが、踏切から20mも歩かないうちに違和感のあるものを見つけた。

【次ページ】 「馬具屋さん」と「第4駐車場」

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