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“全11ゴールに絡む点取り屋+司令塔”メッシが無冠返上か、ネイマールの返り討ちか… コパ・アメリカ宿敵決戦がアツい理由
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/07/09 17:00
メッシとネイマール。アルゼンチンvsブラジルの伝統の一戦で何かと話題になったコパ・アメリカを締めくくる
2018年W杯は、この大会で優勝したフランスとラウンド16で激突。大接戦を演じたが、4-3で砕けた。そして、2019年コパ・アメリカでは準決勝で地元ブラジルの前に敗れ去った。
つまり、W杯4大会、コパ・アメリカ5大会の9つの国際大会で、準優勝が4度、ベスト4が1度、ベスト8が3度、ベスト16が1度。敗退した9試合のうち、規定の90分で敗れたのは4試合だけ。
ちなみに、メッシは2008年北京五輪で金メダルを獲得しているが、これはU-23の年齢別大会であってA代表の大会ではない。
アルゼンチンほどの伝統国が、しかもメッシという天才を擁しながら、これほどの長期間、タイトルを逃し続けているのは実に不思議だ。アルゼンチン国民は、この"空白の28年間"に歯ぎしりしている。
代表とバルサでの得点率を単純比較すると
ただし、これにはメッシ本人にも責任の一端がありそうだ。
彼は、これまで出場したW杯4大会で21試合に出場して6得点、コパ・アメリカには、過去、6大会で32試合に出場して13得点。両大会を合わせて53試合で19得点で、1試合当たりの得点は0.36だ。一方、クラブでは520試合に出場して474点を記録しており、1試合当たりの得点は0.91。対戦相手のレベルが異なるとはいえ、数字を単純に比較すれば、メッシの代表での得点率はクラブでのそれの約40%でしかない。
しかし、メッシと並び称されるポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)はクラブでの1試合当たりの得点が0.86とメッシより少し低い。一方、代表では179試合に出場して109点で、1試合あたりの得点は0.61とメッシを大きく上回る。結果的に、EURO2016と欧州ネーションズリーグ2018と2つのタイトルを手にしている。
かねてから、アルゼンチン国内ではメッシに対して「バルセロナでは世界最高の選手だが、代表では別人」という手厳しい批判が渦巻く。この状況に本人が苦悩しているのは間違いない。