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“全11ゴールに絡む点取り屋+司令塔”メッシが無冠返上か、ネイマールの返り討ちか… コパ・アメリカ宿敵決戦がアツい理由
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/07/09 17:00
メッシとネイマール。アルゼンチンvsブラジルの伝統の一戦で何かと話題になったコパ・アメリカを締めくくる
11点すべてに絡む好調メッシの才能を最大限に……
一方、アルゼンチンは2022年W杯南米予選で3勝3分の2位。2018年末に就任したリオネル・エスカローニ監督は大エースのメッシに攻撃の組み立てとフィニッシュの両方を任せ、彼の才能を最大限に生かすチーム作りを目指す。ただし、まだメンバーを固定できておらず、いくつかのポジションで複数の選手を試している段階だ。
GS4試合の得点は、格下ボリビア戦で大量4点を奪った以外はすべて1点止まり。しかし、準々決勝で難敵エクアドルに3-0と快勝。準決勝コロンビア戦では先制しながら追いつかれてPK戦決着となったが、GKエミリアーノ・マルティネス(アストンビラ)が大当たりで、相手のキックを3本止めた。こういう勝ち方は、チームを波に乗せる。
メッシは、これまでの代表の大会で比類がないほど好調だ。6試合で4得点5アシスト、"アシストのアシスト"が2点と、チームの11得点すべてに関与している。勝負強さが持ち味のFWラウタロ・マルティネス(インテル)も3得点で、"メッシのパートナー"としての地位を固めた。
アルゼンチンは28年間タイトルに見放されている
決勝戦で注目されるのは、世界フットボール史上に燦然と輝く名手メッシが、今度こそ代表で初タイトルを手にするかどうか。
実は、アルゼンチンは1993年にコパ・アメリカを制覇してから実に28年間、A代表の公式大会で優勝していない。メッシが代表でデビューしたのは2005年だが、そこから数えても16年間、無冠だ。
2006年W杯は、準々決勝で地元ドイツに延長PK戦の末、惜敗。2007年コパ・アメリカは、決勝で宿敵ブラジルに敗れた。
英雄マラドーナが監督を務めた2010年W杯は、準々決勝でドイツに0-4と大敗。2011年コパ・アメリカでは、準々決勝でウルグアイに延長、PK戦の末、敗れた。
2014年W杯では、準決勝で地元ブラジルに7-1という歴史的大勝を収めたドイツと対戦。勝てば永遠のライバル・ブラジルにこの上ない屈辱を与えることができたはずだったが、延長の末、またしてもドイツに退けられた。2015年と2016年コパ・アメリカでは、いずれもチリに延長、PK戦の末、惜しくも敗れた。