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桐生祥秀「一区切りかな」 山縣亮太は“9.95”のダメージが… 日本選手権「男子100m」はなぜ明暗が分かれたか

posted2021/06/28 17:01

 
桐生祥秀「一区切りかな」 山縣亮太は“9.95”のダメージが… 日本選手権「男子100m」はなぜ明暗が分かれたか<Number Web> photograph by AFLO

日本選手権男子100mで優勝した多田修平(左)は山縣亮太とともに東京五輪出場を決めた

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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 少し前に降った強い雨は上がったが、走路面は濡れた状態で、ほぼ無風の条件でスタートした6月25日の日本陸上競技選手権男子100m決勝。すでに東京五輪参加標準記録10秒05を突破している5人は顔をそろえたが、結果は想定外の荒れたものになった。

 前日の予選と準決勝で、5人には明暗が見え始めていた。優勝争いをしそうな可能性を見せていたのは、山縣亮太(セイコー)と多田修平(住友電工)、桐生祥秀(日本生命)だった。

山縣は日本新の疲労を残しながらも感覚を上げた

 6月6日の布勢スプリントで9秒95を出した疲労は残っていると話していた山縣は、最初の予選ではスタートからスルスルと首位に立った後、中盤の加速は押さえる余裕を持った走りで、向かい風0.2mで10秒27の1位通過。そして夜の準決勝では中盤もしっかり加速すると最後は流しながらも無風の条件で10秒16と、決勝へ向けて感覚を上げていた。

 それに対して最終第7組の桐生は、予選から素晴らしい走りを見せた。布勢スプリントと同じようなあまり力を使わないスタートながら中盤からキレのある加速をし、最後は流しながらも向かい風0.4mの条件で10秒12の好タイム。布勢スプリント以降は右アキレス腱の治療で走り込みが出来ていないと話していただけに、予選ではその不安解消のためにいい走りをしておこうと思ったのだろう。

 向かい風0.9mだった準決勝は終盤にアキレス腱を気にするそぶりも見せて走りも崩れて10秒28だったが、「アキレス腱は歩いていても痛いが、明日は決勝一本なので、今日より思い切って行けると思う。タイムを上げなければ勝てないので、全力で一本に集中する」と話したように、決勝へ向けての覚悟を決めていた。

 そんな桐生と同じように、キレのある走りを見せたのは多田だった。「予選は直前のスタート練習で足がつりそうになって焦り、あまりいいレースはできなかった」とは言うが、スタートからの動き自体には切れがあり、向かい風2.3mで10秒26と期待できる走り。準決勝では「スタートから中盤の加速は、10秒01を出した布勢よりいい感じになっている」と、向かい風0.4mで終盤は2位の位置を確認して余力を持ちながらも10秒17で走った。

 この3人は無風に近い状態でも10秒0台を出せる力を見せ、表彰台争いの有力候補と予想された。

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