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桐生祥秀「一区切りかな」 山縣亮太は“9.95”のダメージが… 日本選手権「男子100m」はなぜ明暗が分かれたか
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折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byAFLO
posted2021/06/28 17:01
![桐生祥秀「一区切りかな」 山縣亮太は“9.95”のダメージが… 日本選手権「男子100m」はなぜ明暗が分かれたか<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/9/700/img_39a510b2bab6a6b3c35b90b50cce7ba9168298.jpg)
日本選手権男子100mで優勝した多田修平(左)は山縣亮太とともに東京五輪出場を決めた
デーデー・ブルーノ「目標は5位以内だった」
一方、大事な舞台を10秒15で初制覇した多田は、調子も上がってきていると自覚する中で迷いなく走れたといえる。「今季は試合を重ねるたびに、スタートから中盤がどんどん良くなっていったので、それが自信につながった」と言う。今季は体力もアップして終盤の粘りも出るようになっているだけに、他の選手とは違って「スタートから先行して逃げ切るだけだ」というシンプルな思いでレースに集中できた結果だ。
そんな中で台風の目になったのは、予選から好調で決勝では自己新の10秒19を出して2位に食い込んできたデーデー・ブルーノ・チクゥワド凌だった。「予選から調子がいいのはわかっていたが、それでも目標は5位以内だった」という彼自身も驚く結果。ノンプレッシャーがいい方向に出たのだろう。
自分の予想以上の力を発揮出来た選手もいれば、想定外の状況で力を出し切れなかった選手もいて、現状の力は確実に出し切った選手もいたレース。それぞれの明暗が入り乱れることになった結果は、各選手自身の思惑だけではなく、周囲の期待も混ざり合って独特な雰囲気になる五輪代表選考会ならではのもの。そんな難しさが一気に噴き出たような、日本選手権の男子100m決勝だった。
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