SCORE CARDBACK NUMBER

大坂なおみの拒否騒動で思い出す、サッカー界の伝説の会見 トラパットーニ、モウ、エメリの“勝負”とは

posted2021/06/28 06:01

 
大坂なおみの拒否騒動で思い出す、サッカー界の伝説の会見 トラパットーニ、モウ、エメリの“勝負”とは<Number Web> photograph by AFLO

トラパットーニは'98年3月に感情を爆発させる大演説。「空き瓶みたいにダメ」「以上だ」といった発言は流行語に

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph by

AFLO

 大坂なおみの会見拒否騒動は欧州のメディアでも大きな話題となった。どの国でも、会見というのは選手や監督にとっては本当にやっかいなイベントだと思う。

 EURO2020を前に、生まれ育ったフランスではなくスペインの代表を選んだマンCのDFラポルトの会見があった。ある記者の「あなたは本当にスペイン人として国家を背負い、この国旗、エンブレム、国歌を感じ、戦うことはできるのか」という喧嘩腰の質問にラポルトは「質問、重い……。全力で答えますが」と苦笑いしていたが、できるなら自らのSNSで済ませたいものだろう。

 頭を抱えたくなる質問も耳にする。南イタリアであるクラブを追っていた時、必ず会見の最前列に座る記者がいた。彼はいつだって最初に質問をした。会見が始まる前から手をあげていたかもしれない。質問自体よりも質問することに意義を感じているようで、それは問いですらなく個人的な意見表明であることがほとんどだった。同じ立場の自分ですらうんざりするのだから、壇上の主役がどう思っているのかは想像できる。

 先日マドリーの監督を辞したジダンは「これまであなた方と何百回も会見をやってきたが、もっとサッカーの話をしたかった」と記者の質問を批判した。ピッチ外の問題ばかりを突く記者はたしかに多い。

個人的には義務であり続けるべきだと思う

 会見は必要ないという意見もある。しかし個人的には義務であり続けるべきだと思う。アスリートも監督も自ら発信できる時代だが、優等生な発言ばかりでは味気ない。もちろん鬱などに苦しむ人は誰であれ守られるべきで、事前に大会主催者やスポンサー、放映権を持つメディアなどと賞金や契約金などについて協議し、出ないという特例はあっていい。ただ、前提としてはあり続けるべきだ。

 何より会見はショーでもある。モウリーニョのような生粋のエンターテイナー。突然宇宙の話を始める奇人的世界観を持つビエルサやリージョ。バイエルン時代のトラパットーニがドイツ人記者を前にした喧嘩腰の大演説はサッカー史に残る伝説で、「グッド・エベニン」という訛った挨拶で始まるウナイ・エメリ監督のアーセナル時代の会見は、今も英国でカルト的人気を誇り再生され続ける。スポーツと会見は、勝負であり、エンターテイメントでもあるのだ。

この記事の全文は「Number PREMIER」でお読みいただけます。
《バスケ日本代表》ベネズエラ戦、7分18秒の真実…「信じていますか?」トム・ホーバスに問われ続けた比江島慎と川真田紘也
《バスケ日本代表》ベネズエラ戦、7分18秒の真実…「信じていますか?」トム・ホーバスに問われ続けた比江島慎と川真田紘也
甦る死闘。 True Stories of 2023. - Number1086号 <表紙> 大谷翔平

Sports Graphic Number 1086
甦る死闘。
True Stories of 2023.

2023年12月7日発売
800円(税込)

Amazonで購入する

関連記事

ジョバンニ・トラパットーニ
ジョゼ・モウリーニョ
ウナイ・エメリ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ