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3カ国語で答えるフェデラー、言い返すシャラポワ…大坂なおみが拒否した「記者会見」では何が起きているのか?
posted2021/06/10 11:03
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph by
AFLO
「ロジャー・フェデラーは、〇時△分にメインインタビュールームで会見を行います」
「ノバク・ジョコビッチが第一会見室に向かっています」
テニスの大会のプレスルームには、そのようなアナウンスがひっきりなしに流れてくる。人気選手の会見ともなれば、早めに行かないと席が埋まってしまう。負ければその足でコートから会見室に直行する選手もいるので、記者席からインタビュールームまで、我先にと競うように走ることもある。
コロナ禍により会見もリモートが主流になった現在だが、かつてはそれが、プレスルームで見慣れた光景だった。
テニスの記者会見はどう行われているか?
大坂なおみが、全仏オープンで「記者会見は行わない」と宣言したことにより、グランドスラム・ルールブックに明記されている「メディアから要望がある場合、選手は試合直後、もしくは30分以内に会見を行なわなくてはいけない」の文言は、多くの人が知るところとなった。
だが実際には、30分以内に会見が行なわれる方がレアケース。多くの場合、選手はクールダウンやシャワーを終えてから会見場に現れるため、おおよそ1時間後が一般的だ。マッサージや治療が必要な選手はもっと遅れることもあり、そのあたりは臨機応変である。
会見そのものの時間は、通常10~15分ほど。どの国の選手もまずは英語、続いて母国語で行われる。それらの時間配分等の判断は、基本的には司会者の仕事。参加者の数や顔ぶれを見ながら、「質問がある人は挙手し、指名されたら発言すること」「質問は一人ひとつまで」などと決めるのも、司会者の裁量だ。
ただときには選手の方が、柔軟に対応することもある。会見慣れしているラファエル・ナダルや錦織圭は、司会者が「時間切れだから」と遮った質問に対しても、寛大に答えることは珍しくはない。マリア・シャラポワなどは、「あの人はさっきから手を挙げているのに、指名されずに気の毒よ」と司会者に諭したこともあった。
3か国語で取材対応をするフェデラーは…
試合を終えるたびに、英語、スイスドイツ語、さらにはフランス語でも会見をすることがあるロジャー・フェデラーは、最も長い時間を会見室で過ごしてきたテニス選手だろう。それは彼が、テニスやスポーツ報道の重要性を、誰より理解しているからかもしれない。全豪オープンのオンコートインタビューで、彼は次のように語ったことがある。