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ベルギーのスゴさは攻撃陣+フェルマーレンら「守備マスター」 ロナウドらポルトガルに“シュート24本浴びても1-0”【EURO】
posted2021/06/28 17:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
FIFAランク1位のベルギー対前回覇者ポルトガル──。人口1000万人強とリソースは限られながらも、ここ10年ほどの間にフットボールネーションの座を確立した両国は、ケビン・デブライネとクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、タレントの宝庫でもある。そしてどちらも人々は概して親切で、居心地の良いところまで共通する。
まるで「決勝戦」のような慎重な展開に
そんな似たもの同士の強豪対決は、ポルトガルのフェルナンド・サントス監督が予言した通り、「決勝戦」のような展開で推移していった。つまり、どちらも慎重に試合に入っていったわけだ。
ボールを持っても攻撃に人数をかけず、序盤はジャブの応酬のようだった。
ドイツとのグループステージ第2戦で、相手のウイングバックにことごとく崩されたポルトガルはこの日、両ウイングが大外をケアして対応する。中盤の構成も、ドイツ戦で用いた正三角形ではなく、決勝トーナメントに望みを繋いだフランスとのGS第3戦の逆三角形を採用。引き続きレナト・サンチェスとジョアン・モウチーニョを前目に置き、アンカーにはジョアン・パリーニャが初先発した。
対するベルギーは、開幕前に状態が心配されたアクセル・ビツェルとエデン・アザールがGS第3戦に続いて先発し、完全なるベストメンバーに。トップ下のデブライネが右にもずれる、3-4-3とも3-4-1-2とも取れる形で、主導権を握ろうとした。
ジョタやアザールがチャンスを迎えたものの
だが最初のチャンスはポルトガルがつくった。6分、サンチェスが中盤でうまく体を使って敵と入れ替わると、目前に開けたピッチを突き進み、左前方へパスを送る。これを受けたディオゴ・ジョタがシュートを放つも、ボールは枠外へ。するとその4分後には、ベルギーの主将エデン・アザールがロメル・ルカクとのワンツーから、ゴールを狙ったが、こちらも大きく外れていった。