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「タキはリバプールの長期構想に入っているが…」現地の重鎮記者が南野拓実に“もう1年サウサンプトン”を薦める理由
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images(L/R)/JMPA(C)
posted2021/06/01 17:01
リバプールかサウサンプトンか。日本代表にも招集されている南野拓実の去就にも注目したい
主戦場としたのは4-2-2-2の攻撃的MF。サウサンプトンは「ハイライン&ハイプレス」の戦術で局地的に密集地帯を作り、高い位置でボールを刈り取って一気に攻め込むプレーを得意としている。
南野は前所属先のザルツブルクで似たような戦術をマスターしており、チームにもスムーズに溶け込んだ。その成果が、加入直後に決めたニューカッスル戦とチェルシー戦のゴールだった。
MFとして攻守のバランスを取る賢さの両面性
しかし、試合を重ねるごとにゴール前での怖さが萎んでいった。目立ったのは、MFとして攻撃と守備のバランスを意識したプレー。特に4月以降はチーム全体のバランスを考えてのカバーリングが増え、攻撃面でのインパクトが小さくなっていったように思う。前線に飛び出してもパスが出てこなかったり、あるいは相手選手にブロックされ、シュートまでいけないシーンが目についた。
だが、こうした南野の動きをハーゼンヒュットル監督は「ミナミノは出場した試合で非常に効果的な影響をもたらした。リバプールのようなクラブが彼を獲得した理由がよくわかった」と高く評価している。
その理由は、サウサンプトンのメンバー表を確認すると朧げながら見えてくる。
南野がプレーする攻撃的MFには、ネイサン・レドモンドやテオ・ウォルコット、ネイサン・テラ、ムサ・ジェネポ、スチュワート・アームストロングが在籍している。南野とアームストロングを除けば、すべて独力での単独突破を得意とするウィンガータイプの選手ばかりだ。
“ネガトラ”を実行できる南野が先発した時の勝率
南野は、攻撃から守備の切り替え(ネガティブトランジション)を素早く行なうことができ、豊富な運動量で広いエリアをカバーできる。そして、チャンスと見ればゴール前に顔を出し、決定機を呼び込むことができる。こうしたプレースタイルを、オーストリア人指揮官は「貴重な戦力」として非常に気に入っている様子だった。
興味深いのは、南野が先発したリーグ戦の勝率だ。