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「タキはリバプールの長期構想に入っているが…」現地の重鎮記者が南野拓実に“もう1年サウサンプトン”を薦める理由
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images(L/R)/JMPA(C)
posted2021/06/01 17:01
リバプールかサウサンプトンか。日本代表にも招集されている南野拓実の去就にも注目したい
先発試合では「3勝2分4敗」を記録したのに対し、南野がベンチスタート、もしくは欠場した試合では「1勝7敗」と大きく負け越した。豊富な運動量で前線から最終ラインまで走り回った南野の貢献とハードワークが、見えないところでチームの成績に影響をもたらしたと言っていいだろう。
英全国紙のサッカー部門主筆に評価を聞く
これらを踏まえた上で、英全国紙サンデー・タイムズでサッカー部門主筆を務めるジョナサン・ノースクロフト記者に南野の評価を聞いた。同記者は「リバプールに戻れるかという観点で評価を下すなら、厳しいものにならざるをえない」と語る。その理由を次のように語った。
「守備や豊富な運動量での貢献度は、確かに高かった。しかし、それらを加味しても、ゴール前での危険な動きが足りなかった。特に気になったのは、ゴール付近でのプレー。ボール保持時に相手から激しく体を寄せられると、体勢を崩してしまうことが多かった。また、ポゼッションを失いたくないのか、仕掛けるべき場面で無難な横パスやバックパスが多いのも良い印象を受けなかった。
しかし、強調しておきたいのはプレースタイルの違いだ。突破力の高いウィンガー、例えばウォルコットやテラとはタイプが違うだけに、彼らと同系列で評価を下すのはナンセンスだろう。そもそも、広範囲のエリアをカバーできる南野とはタイプが違うし、監督が求めているものも異なるからだ。サウサンプトンでの南野のプレーや役割から言えば、ハーゼンヒュットル監督の評価は理にかなっている。
デビュー3試合で2ゴールを奪ったスタートは素晴らしかった。最高の形で始まったと思うし、ハーゼンヒュットル監督の戦術にもフィットしていた。しかし残念だったのは、繰り返しになるが、ゴール前での怖さが薄れていったこと。結果として、期待していたほどの成功は収められなかった」
「タキはリバプールの長期的構想に入っている」
ならば、来季の去就はどうなるか。サウサンプトンのハーゼンヒュットル監督は、南野について所有権を持つリバプールとすでに交渉を行なっていると明かしている。「まだ何も決まっていない」と語りながらも、サウサンプトンは完全移籍での獲得、もしくは来季のレンタル続行に強い興味を示している様子だ。
一方、リバプールのユルゲン・クロップ監督は南野をレンタルに出す際に、サウサンプトン側が要求した買取オプションを拒否している。シーズン中にも「タキは長期的視野に立ったチーム構想に入っている」と強調。現時点で言えば、南野はリバプールに復帰する見通しだ。