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「オスプレイvs鷹木」は何度でも見たくなる 格差への不満も数奇な運命もないのに“令和の名勝負数え唄”になったワケ 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2021/05/11 11:01

「オスプレイvs鷹木」は何度でも見たくなる 格差への不満も数奇な運命もないのに“令和の名勝負数え唄”になったワケ<Number Web> photograph by Masashi Hara

ウィル・オスプレイ(左)と鷹木信悟の長時間に及ぶ試合は、何度でもまた見たくなるものだった

同じ組み合わせをまた見たくなるのはなぜ?

 同じ組み合わせの試合を別の機会にも見てみたい、というのはチームスポーツだと特殊なことではない。巨人vs阪神やレアル・マドリーvsバルセロナ、ボカ・ジュニアーズvsリーベル・プレート、セルティックvsレンジャーズなど、その組み合わせ自体が特別なものになっているのは、人気のチーム同士が覇権を争い続けてきた歴史がそうさせているだけではなく、文化や地域、社会階級の違い、宗派対立などの代理戦争という側面が下地にあるからだ。

 もちろん、チームスポーツの中でも個人の直接対決が特別なものになることはある。しかしそれはほとんどの場合で、桑田真澄vs清原和博や川上憲伸vs高橋由伸のようにその該当者同士の歴史がそうさせる。

 オスプレイvs鷹木は、英国vs日本ではあるもののナショナリズムのぶつかり合いというわけではない。ユナイテッド・エンパイア(かつてはケイオス)とロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのユニット抗争という感じでもない。長州力vs藤波辰巳(現・辰爾)のように格差への不満に端を発したものでもなければ、三沢光晴vs川田利明のように数奇な運命があったわけでもない。

オスプレイの2勝1敗で4度目の戦いへ

 初シングルは2019年のBEST OF THE SUPER Jr.優勝決定戦。いきなり頂点を賭けた戦いだった。今でもその年のベストバウトに推す声が大きいこの試合で、ジュニアヘビー級の選手として規格外の存在として無差別級としても戦っていたオスプレイが新日本参戦以来無敗だったザ・ドラゴンを倒してみせた。

 2度目は2020年のG1クライマックスAブロック公式戦。ヘビー級の選手として再会した2人の戦いは、前年のジュニアの頂上決戦からスピードが失われることなくパワーが増した激闘となった。ここではヘビー級の選手として戦い方を変貌させつつあるオスプレイを、鷹木が振り切ることに成功している。

 3度目は今年のNEW JAPAN CUP決勝戦。ユナイテッド・エンパイアを立ち上げ凄みを増したオスプレイが鷹木を破り、そのまま4.4両国で一気にIWGP世界ヘビー級のベルトも奪取した。

 そして、福岡で4度目となる戦いとなった。

【次ページ】 令和の名勝負数え唄になった理由

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