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「オスプレイvs鷹木」は何度でも見たくなる 格差への不満も数奇な運命もないのに“令和の名勝負数え唄”になったワケ 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2021/05/11 11:01

「オスプレイvs鷹木」は何度でも見たくなる 格差への不満も数奇な運命もないのに“令和の名勝負数え唄”になったワケ<Number Web> photograph by Masashi Hara

ウィル・オスプレイ(左)と鷹木信悟の長時間に及ぶ試合は、何度でもまた見たくなるものだった

令和の名勝負数え唄になった理由

 2人のシングルマッチは、強さと凄さを証明するために意地を張り合う、という純度の極めて高い争いだ。代理戦争の要素やそれまでの歴史といったものが無いのにも関わらず、その試合内容だけで令和の名勝負数え唄となっているのは、それぞれが試合ごとに新しい景色を見せてくれるからだ。

 鷹木は、座右の銘が我道驀進であるように、己の道を突き進むことで相手を上回ろうとする。

 1つの試合の中でもそうだ。オスプレイがパンピングボンバーの勢いを利用してスパニッシュフライで切り返してくるのならば、さらにスピードを上げて切り返せないほどの力で叩き込んでみせる。混戦の中でハイキックを狙ってくるのならば、その勢いを逆利用してMADE IN JAPANで投げてみせる。

 あくまでも自らの長所を出そうとするその戦い方は、試合を重ねるごとに攻防が進化することに繋がっている。

 勝利した2戦目では、初対決でオスプレイの勝利を決定づけたスーパー・オスカッターを狙ってきたところを封じ、そのタイミングでSTAY DREAMを炸裂させて一気に勝利を引き寄せた。

ifを見せて会場を熱くする鷹木

 今回の対決では、3月の仙台で場外でのスーパー・オスカッターとテーブルへのファイヤーバードスプラッシュを食らって流れを持っていかれてしまったことから、場外戦で上回ってみせた。オスプレイがテーブルを用意するタイミングで自身もテーブルを持ち出し驚かせると、競り合いの末にMADE IN JAPANでクラッシュさせて狙い通りに流れを引き寄せた。

 そうやって前回の自分を突き破っていくその姿に観客のテンションも引っ張られる。現在の新日本で会場を誰よりも熱くしているのが鷹木なのは、大声で自家発電していく様子や技の豪快さ、鷹木式の掟破りはもちろん、こうしてifを見せてくれるからだ。

 しかし、結果はifにはならなかった。仙台に続き、福岡で勝ったのもオスプレイだった。その進化が鷹木も驚くほどの凄まじい早さだからだ。

【次ページ】 終わってみればオスプレイの完勝だった

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