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若き名将の栄光と転落… ナーゲルスマンは34歳でバイエルン、16歳から指導者ビラス・ボアスの“意外な二刀流”とは 

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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posted2021/05/10 11:01

若き名将の栄光と転落… ナーゲルスマンは34歳でバイエルン、16歳から指導者ビラス・ボアスの“意外な二刀流”とは<Number Web> photograph by Getty Images

ナーゲルスマン(左)とビラス・ボアス。彼らのような若き指揮官が、今後どのようなキャリアを築くかにも注目したい

 堅い守備をベースに戦ったポルト時代とは打って変わり、チェルシーではハイラインを採用。結果、ジョン・テリーやアシュリー・コールらが何度も後ろ向きに走る羽目になった。

 今でこそハイライン・ハイプレスは一般的な戦術だが、当時のチェルシーにはモウリーニョのもとプレミアリーグ歴代最少の15失点で制したメンバーが多くいた。まさに対極といえる戦術で挑むには難易度が高すぎる。

ベテランを軽視したことで失った求心力

 加えてベテランを軽視したことで、チーム内の不和を生み出すきっかけを作ってしまった。ディディエ・ドログバは自伝『Commitment』で自身やフランク・ランパード、A.コールをチームから除外しようとする噂が広まったことが問題の発端だと明かした。

「アンドレの過ちは、チェルシーでの指揮を簡単だと思っていたことだ。自分のやり方でやれば勝てると思っていた」

「経験豊富な人の話に耳を傾け、コミュニケーションを取らないといけない。そうでなければ、チェルシーのようなクラブを指揮していても落ちていくだけだ」

 自分のチームを作ることに没頭して、選手の心を掌握できなかったことが原因だったようだ。ここでも圧倒的なカリスマ性をもつモウリーニョとの比較は避けられない。

 自身は「私はモウリーニョのクローンではない」とメディアを諭していたが、世間の見方はそう簡単に変わらなかった。度々比較されたモウリーニョの幻影に苛まれていたのかもしれない。

 その後トッテナムやゼニト、上海上港を率いるもタイトルを獲得したのはゼニトの時のみで、目ぼしい成績を残すことはできていない。2019年5月に就任したマルセイユでは1年目で7シーズンぶりのCL出場権をもたらしたが、今年2月にフロントと補強方針でぶつかり突如辞任。現在はフリーの身だ。

【次ページ】 なんと世界ラリー選手権に出る“二刀流”!

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