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若き名将の栄光と転落… ナーゲルスマンは34歳でバイエルン、16歳から指導者ビラス・ボアスの“意外な二刀流”とは

posted2021/05/10 11:01

 
若き名将の栄光と転落… ナーゲルスマンは34歳でバイエルン、16歳から指導者ビラス・ボアスの“意外な二刀流”とは<Number Web> photograph by Getty Images

ナーゲルスマン(左)とビラス・ボアス。彼らのような若き指揮官が、今後どのようなキャリアを築くかにも注目したい

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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 このところ、若き指揮官たちがフットボール界を賑わせている。

 RBライプツィヒの現監督、ユリアン・ナーゲルスマンがバイエルンに電撃移籍。ブンデスリーガ史上最年少の28歳でホッフェンハイムの監督に就任し、新興勢力だったライプツィヒを強豪に伸し上げた男だ。

 現チェルシー監督のトーマス・トゥヘルに素質を見出されたのは20歳の頃。アウクスブルクのセカンドチームでプレーしていたが、膝の故障でキャリアを終えた彼は、当時監督のトゥヘルのもとで対戦相手のスカウティングとして働き指導者としての第一歩を踏んだ。

 1860ミュンヘン、ホッフェンハイムのアカデミーでコーチングの経験を培った後、28歳で転機が訪れる。ホッフェンハイムのフーブ・スティーブンスが心臓の疾患を理由に監督の座を退くと、U-19の監督を務めていたナーゲルスマンにお鉢が回ってきたのだ。

 ブンデスリーガ史上最年少監督――という言葉に酔いしれられるほどチームの状況は良くなかった。就任時点の順位は17位、昇格POとの勝ち点差は5と降格もちらつく中でディートマー・ホップが下した決断には現地紙も「PR活動」「狂ったアイデア」と辛辣な表現を浴びせた。

戦術以外にも人間性がナーゲルスマンの魅力

 それからわずか5年。ホッフェンハイムをクラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場に導き、ライプツィヒではCLのベスト4に進出。メディアが抱いた疑念をことごとく覆してきた男が、来季からついに絶対王者の舵を取る。

 2015年にバイエルンのU-23チームの監督職を打診されていたというナーゲルスマンは、ブンデスリーガ、欧州の舞台で実績を残し、改めてトップチームのオファーを受けた。

 来季、34歳で指揮を執るのはバイエルン史上3番目の若さとなるが、今回の決断に異論を唱えるものなどいないだろう。

 ラップトップの中に詰まった幾多の戦術、対戦相手の特徴や弱みを暴くスカウティングばかりがフォーカスされるが、人間性も彼が高く評価される理由のひとつだ。

【次ページ】 トッテナムでは29歳のライアン・メイソンが

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