欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
若き名将の栄光と転落… ナーゲルスマンは34歳でバイエルン、16歳から指導者ビラス・ボアスの“意外な二刀流”とは
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/05/10 11:01
ナーゲルスマン(左)とビラス・ボアス。彼らのような若き指揮官が、今後どのようなキャリアを築くかにも注目したい
モウリーニョやメイソン、ナーゲルスマンらは一度選手の道を志したものの、挫折や大ケガなどを理由に指導者へと転換した。
しかし今年2月までマルセイユの監督を務めていた43歳のポルトガル人。彼はプロ選手としてのキャリアどころか、プロクラブのアカデミーでプレーしたこともない。
ビラス・ボアスが指導者の道を歩み始めたのは16歳
ビラス・ボアスが指導者としての道を歩み始めたのはなんと16歳。
当時ポルト監督のボビー・ロブソンに導かれ、UEFAのC級ライセンス取得に向けてイングランド・サッカー協会やイプスウィッチで学んだ。17歳でC級ライセンスを取得すると、4年後にはUEFAプロライセンスの取得も済ませる。21歳でCLの舞台で指揮を執る資格を手にした。
その後英領バージン諸島の代表監督を務めると、2001年にモウリーニョ政権下のポルトで、対戦相手の分析役としてポルトに入閣。そこからチェルシー、インテルと6年間彼のもとで働いていたが、その間にスペシャル・ワンが何を成し遂げたかは言うまでもない。
32歳でポルトを率い、ELを含めて4冠を達成
そして"エリート指導者"の名が欧州中に知れ渡るのは2011年のことだった。
インテルのアシスタントコーチを辞めたビラス・ボアスはポルトガルのアカデミカの監督を経て、10-11シーズンから名門ポルトを率いた。
32歳8カ月で就任したクラブ史上最年少監督は、1年目から衝撃の成果を上げる。ハメス・ロドリゲス、ラダメル・ファルカオ、フッキ、ニコラス・オタメンディら若手選手を巧みに使いこなし、国内リーグを無敗優勝。さらにヨーロッパリーグを含む4冠を達成したのだ。
シーズン終了後には当時プレミアリーグ史上2番目の若さとなる、33歳8カ月でチェルシーの監督に就任。若くして名を上げ、ポルトでの躍進→チェルシー行き、そして何より参謀役を務めていたことから、"モウリーニョの再来"と期待されるのは当然のことだった。
しかしチェルシーでの旅はわずか256日で終幕を迎えてしまう。