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カープの育成ドラ1は“鈴木誠也以来の逸材” 18歳二俣翔一は「激戦の捕手争い」を勝ち上れるか?
posted2021/04/28 06:01
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Sankei Shimbun
12球団で唯一、広島は開幕から捕手4人体制を続けている。延長なしの今季ルールから余剰人員とならない理由は、それぞれのユーティリティー性にある。正捕手会沢翼を除く3捕手は一塁や外野など、ほかのポジションでも出場。会沢を含め全捕手が代打で起用されている。2番手捕手の坂倉将吾まで固定される今季、強打の捕手がそろう広島では、キャッチャーミット1つで一軍に生き残ることが厳しくなっている。
捕手王国を築こうとする広島に、また新たな可能性を秘めた捕手が1人加わった。20年育成ドラフト1位の二俣翔一だ。
「高卒の右打者であれだけ完成度の高いスイングをする選手はなかなかいない。俺がこれまで見てきた中では会沢、(鈴木)誠也以来」
東出輝裕二軍打撃コーチの評価が、期待の大きさを物語っている。
育成ドラ1位の獲得は「僕らにとってはラッキーでした」
昨年のドラフト会議。広島は編成の都合上、捕手の本指名は見送った。
ただ、菊池涼介や西川龍馬を獲得してきた松本有史担当スカウトは「捕手として課題はあるけど、肩はいい。打撃もキレのあるスイングをしていたし、パンチ力もある。木製バットでも打てていたので(木製バットに)対応するのも早いかなと思っていた」と評価。育成ドラフトに入った時点で、まだ指名されていなかった二俣を迷わず指名した。広島にとっては、うれしい誤算だった。
松本スカウトは「本人からすると(本ドラフト指名ではなく)残念だったかもしれないけど、僕らにとってはラッキーでした」と同年唯一の育成選手獲得を振り返る。
遠投は“驚異の120メートル” 思い切りの良い打撃も◎
期待だけでなく、プロ初スタメンで大器の片鱗を見せている。
4月16日、ウエスタン・リーグ阪神戦(鳴尾浜)に「7番・指名打者」でスタメン出場し、迎えた4回の2打席目。1死一、二塁から阪神及川雅貴の外角高めツーシームに反応した。打球はぐんぐん伸び、右翼席へ飛び込む逆転3ランとなった。逆方向へ伸びる弾道はホームランアーティストとしての素質を感じさせた。